法教育とは、法律専門家でない市民を対象に、法、法過程、法制度、これらを基礎づける基本原則と価値に関する知識と技術を身につけさせる教育であり、自由で民主的な社会を構成する市民の育成の一助となるものです。法教育は、事前規制社会から事後規制社会への変革という司法制度改革の一環として、法務省が主導して検討が進められてきており、今では、大学、裁判所、弁護士会、司法書士会など、多様な機関で実施され、社会に定着しつつあります。

法学部法律学科では、かつて法務省法教育研究会の委員として、我が国における法教育の在り方の検討に参画したことのある、唐津惠一教授の指導の下、法学部法律学科の学生が先生となり、付属校や連携校に出向いて法教育の出前授業を行っています。今年は、3月2日から3月16日の間に、相模高校中等部2年4クラス、菅生高校中等部3年3クラス及び浦安高校中等部1年・2年・3年全12クラス合計19クラスで法教育を実施しました。
今年は、「契約」に関する体験的な授業を行いました。「契約」は現代社会では不可欠な極めて身近な存在であるが、一度成立した「契約」に基づく義務は必ず履行しなくてはいけなく、履行しない場合には、最後は国家権力でもって強制的に執行される重いものであることを理解したうえで、取引を行う場合には慎重に考える習慣を身に着ける大切さを伝え、プロ野球選手と球団との契約を題材に交渉して契約書を生徒たちに作ってもらいました。一方、だまされるなどよほどひどい場合には契約が取り消される場合のあることも伝え、どのような場合に契約の取り消しが可能なのか、いくつかの例を示しながら考えてもらうセッションも設けました。法学部法律学科2年生の相嶋真帆さん、山中蓮さん及び上月仁心さんの3名が先生役となり、うまく生徒たちの議論を主導し、生徒たちには、契約の大切さと法が契約に関する被害者を守ってくれることを教えていました。このようなフィールドとして場を与えていただいた付属校の先生方には改めて感謝したいと思いますし、来年もまた実施したいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【付属高校中等部の生徒たちの感想】
「授業で学んだ契約には、①基本的に取り消せない、②一方的に相手が悪い場合には、法が守ってくれる、③救済には力が必要だ、といった3つのことがわかりました。」
「レシートをお店にもっていっても交換できなかったり返品できなかったりすることがある場合を知ってとても驚きました。今回学んだ知識を日常でいかせるようにしたいです。」
「私は少し前から法について興味があるので法教育の授業はとても参考になりました。また特に野球選手と野球チームとの契約が難しいところだと思いました。」
「私たちに契約について教えていただき有難うございます。靴などサイズを間違えて買ってしまっても契約を取り消すことができない可能性があるので、しっかり確認して買うようにします。」
「今回は身近だけれど詳しくは知らない契約について教えていただき有難うございました。この学びを糧にこれからは買い物をするときに自分の過失がないように消えお付けたいです。」
「契約についての授業をしていただき有難うございました。私は日々の買い物が契約をして行っていることは知っていましたが、契約を取り消すことができる法があることは全く知らなかったので勉強になりました。また、野球選手と球団の契約交渉のグループ活動とても楽しかったです。」
「印象的だったのは、普段の私生活のあらゆるところに契約があるのが驚きでした。今回の講座を機にもっと法を学びたいと思いました。」

【担当した学生の感想】
「中学生への授業は、とても貴重な体験をさせていただきました。私自身の知識不足もありますが、一つのクラスをまとめる大変さ、教えると言うことは、それだけの責任も伴ってくることを学ばせていただきました。」
「最初は法律に対して「難しそう」「自分たちには関係ない」という距離感を持っている生徒が多い印象でしたが、身近なトラブルや事例を交えることで、次第に真剣な表情で議論に参加してくれるようになりました。自身も授業を重ねるうちに生徒が疑問を持ちやすい箇所がわかり、より詳しく伝えることができたと思います。法律が自分たちの自由を守るために存在することを伝えられたと感じ、非常に手応えのある授業となりました。」
「実施した感想としては、理解力の0を1にするのが大変だった点です。自分たちが理解をしているからこそ、突発的な疑問や学生たちの感想がとてもユニークで、新鮮でした。また大変である仕事だけど、教えたいとも思いましたし、このような場を設けていただいて貴重な経験ができました。」
