文学部文明学科では5月16日に湘南キャンパスで、知のコスモス講演会「メキシコ西部の石器を通して見るメソアメリカ文明の発展―文明の周縁からの視点―」を開催しました。メキシコ・ミチョアカン大学教授で同考古学研究センター所長のファン・ロドリゴ・エスパルサ・ロペス氏が講師を務め、石器研究を通して見たメソアメリカ文明の発展や地域間交流について講演しました。

メソアメリカ文明は、現在のメキシコ中部からグアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス西部周辺にかけて発展した複数の先住民文明の総称で、アステカ文明やマヤ文明、テオティワカン文明など高度な文化を築いたことで知られています。一方で、地方社会や周辺地域が文明全体の発展に果たした役割については、これまで十分に検討されてきませんでした。本講演会は、石器研究を通して中央と地方のつながりを捉え直し、多様な地域社会の相互作用によって形成された文明圏としてメソアメリカ文明を再考することを目的に開催したものです。講師を務めたエスパルサ氏は、メキシコ西部考古学の発展と文化遺産の保存に大きく貢献している研究者です。長年にわたり、ハリスコ州のテウチトラン文化を研究しており、特に蛍光X線分析(XRF)を用いた黒曜石の原産地特定や、地中レーダーなどの非破壊技術を活用した遺跡探査を展開。世界遺産を構成する「グアチモントネス遺跡」の調査・修復では中心的な役割を担いました。
当日は、学生や教職員ら約80名が参加。講演は全てスペイン語で話され、Zoomにて日本語同時通訳がされました。
エスパルサ所長はまず、ミチョアカン大学考古学研究センターの設立経緯や研究実績について説明し、「ミチョアカン大学と東海大学は2016年9月に学術協定を締結しました。今年で10周年という節目を迎えますが、現在も良好な関係を築いています」と紹介しました。続いて、グアチモントネス遺跡の調査結果について触れ、同地域で産出する黒曜石をテーマに、石器の加工方法や流通経路、地域同士のつながりについて解説。「現在は、過剰で無秩序な採掘によって貴重な黒曜石資源が減少しています。メキシコの歴史や文化を守るためにも、今後は適切な管理・保護に取り組んでいきます」と話しました。
講演後の質疑応答では、参加した学生から「石器や加工品にはさまざまな色が見られたが、それぞれに意味はあったのか」「黒曜石は非常に貴重だったとのことだが、儀式や儀礼以外の場面でも神聖な存在として扱われていたのか」といった質問が寄せられ、エスパルサ所長が丁寧に回答していました。


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5/16開催 文学部知のコスモス「メキシコ西部の石器を通して見るメソアメリカ文明の発展:文明の周縁からの視点」
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