歴史学科考古学専攻の北條教授と学生が西表島の村落跡を発掘調査しました

文学部歴史学科考古学専攻の北條芳隆教授と本専攻の学生15名が、8月5日から19日まで沖縄県西表島の網取地区にある2つの村落跡を発掘調査しました。この研究は、北條教授が海洋学部海洋生物学科と島内にある本学沖縄地域研究センターとともに本学総合研究機構の採択を受けて実施している、西表島の廃村や水田遺跡の調査の一環です。

今回の調査では、水田環境でしか生息できない丸タニシの貝殻を村落跡にある18世紀ごろの地層から沖縄県内で初めて数多く発見。廃村の直前まで食されていたことを明らかにするとともに、海の貝であるシャコガイと丸タニシを組み合わせたオブジェも発見しました。

また同島に生息するオオナキオカヤドカリが絶滅危惧種とされるにいたった背景は、大型化する個体が減少したためだと理解すべきで、大型化には人の生活が大きく関与していたことを示す証拠を発見。2005年ごろから、貝塚にある大きな貝殻がオオナキオカヤドカリによって「盗難」される事例が頻発したことにヒントを得て、海洋学部と沖縄地域研究センターの研究グループがヤドカリの悉皆調査を実施。ヤドカリのライフサイクルを復元した結果、人が集落内に投棄した貝殻が大型化を促した事実を解明し、廃村や護岸工事によって海の貝を利用できなくなったことや、これらの状況が大型になる個体数の減少につながっており、種それ自体の絶滅とは別問題であることを明らかにしました。

北條教授は、「丸タニシの発見は、西表島における稲作が他の地域で用いられてきた技術を移転する形で導入されたことを示す証拠の一つだと考えられます。一方のヤドカリは、沖縄の神話では天地創造の後に最初に誕生し、次に人が誕生したとされているほど暮らしや文化と密接にかかわってきた生き物であり、今回の調査における成果はその一端を示すものだと言えます。これまでの研究では水田跡の調査を重点的に行ってきましたが、今後は生物と人のかかわりにも注目していきたい」と話しています。

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