東慎一郎准教授(文学部)が日本科学史学会学術賞を受賞しました

 東慎一郎准教授(文学部)が、日本科学史学会学術賞(2021年度)を授与され、昨年2022年5月28日土曜日、日本科学史学会第69回総会(2022年度、オンライン)にて表彰されました(日本科学史学会賞のページ:https://historyofscience.jp/prize/jyushousha)。
 受賞は東准教授の著作、『ルネサンスの数学思想』(名古屋大学出版会,2020年)によるもの(名古屋大学出版会のページ:https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-1010-8.html)。16世紀ヨーロッパで見られた数学論(数学という学問の性質や意義をめぐる議論)について、幅広い思想史的・歴史的文脈を考慮しながら研究しており、もともと発表されたフランスでも高く評価されていました。
 1941年の発足以来、わが国の科学史研究を担ってきた日本科学史学会が、会員の研究業績を顕彰する学会賞を創設したのは2006年のこと。以来、「学術賞」「学術奨励賞」「論文賞」「特別賞」の四賞が年度ごとに発表されてきましたが、重要な「学術賞」「特別賞」は該当作・該当者がない年度も多かった中、東准教授は5年ぶり、過去16年で4人目の学術賞受賞者となりました。
 東准教授による受賞作は、2018年にフランスで出版した著作、Penser les mathématiques au XVIe siècle (Paris, Classiques Garnier, 2018) を加筆修正しながら日本語にしたもの。フランス語著作は2019年、フランス学士院の人文部門、アカデミー・フランセーズから、優れたルネサンス研究に与えられるマルセル閣下賞を受賞し、複数の国際雑誌でも好意的書評を受けていました(マルセル閣下賞のページ:https://www.academie-francaise.fr/prix-monseigneur-marcel)。日本語版はそのフランス語版に加筆修正しながら訳したもので、「結論」では新たに、17世紀のガリレオやデカルトの思想との比較も展開しています。
 受賞について東准教授は、「大変栄誉な賞をいただきました。日本科学史学会には院生の頃からお世話になり、会員との交流や議論から常に刺激を受け取ってきました。研究を通して見えてきたのは、科学について考える営みが決して現代固有のものではなく、ヨーロッパでは古代ギリシャから続けられてきた活動だということ。これからも学会員の皆さんとともに、喜び勇んで科学史研究を続けていきたい」と話しています。