大学院生が平成26年度笹川科学研究助成の「学術研究部門」に採択されました

大学院生が平成26年度笹川科学研究助成の「学術研究部門」に採択されました

大学院海洋学研究科海洋科学専攻2年次生の田嶋莉奈さんがこのほど、平成26年度「笹川科学研究助成」に採択されました。「笹川科学研究助成」は、財団法人日本科学協会が日本財団の助成金を受け、科学研究の将来を担う若手研究者(大学院生あるいは所属機関などで研究に従事する35歳以下の研究者)の人材育成とその研究の奨励を目的に、研究の実施に必要な経費の一部を助成するものです。今回は外国籍研究者を含む1,190件の応募があり、選考委員会で厳選された321件が採択されました。

田嶋さんの研究テーマは、「風成駆動流理論を用いた北太平洋亜熱帯循環系における海洋構造の解明」です。北太平洋亜熱帯地域の海は、世界的にみても最も広大な面積を持つことから、地球全体の気候に大きな影響力を持つといわれています。田嶋さんは中でも、海上を吹く風によって起きる海流の循環(風成循環)と、海水中の温度や塩分の違いによって起こる熱塩循環の関係に着目。海面に近い部分の海流に、風成循環と熱塩循環がどのようにかかわっているのか、海洋地球科学科の轡田邦夫教授の指導を受けながら解明しようと取り組んでいます。その一環として、今回の採択研究では北太平洋亜熱帯地域のいくつかのポイントをターゲットに、人工衛星によるデータや気候学的観測データ、船舶で採取した海水データ、海上風のデータなどを分析し、全体の流量に対する風の影響を明らかにすることを目指しています。

田嶋さんは「これまで海洋学部からも4名の先輩がこの助成を受けていますが、物理学の研究で採択されたのは私が初めてと聞いて大変うれしく思っています。海流は海水そのものだけでなく、大気と互いに影響し合いながら成り立っている大変興味深い分野です。これまでさまざまな研究者によって、海流のシミュレーションモデルは明らかにされているので、今後は、その結果を実際に計測したデータと比較し、海の仕組みをより詳しく明らかにしていきたい」と抱負を語っています。