医学部付属病院が「野外炊き出し訓練」を実施しました

伊勢原キャンパスの医学部付属病院が12月6日に、「野外炊き出し訓練」を実施しました。当院は神奈川県の災害拠点病院に指定されており、災害時に重症・重篤な傷病者を受け入れるなど地域における医療救護活動の中心的な役割を担っています。この訓練は、厨房が使用不能になった際の野外調理の流れを確認するとともに、災害時の食事に関する職員への周知や災害対応意識の向上を図ることを目的に、診療技術部栄養科が中心になって企画したものです。栄養科をはじめ事務部や病院食の調理委託会社の職員ら約20名が訓練に取り組み、医療従事者や教職員が試食しました。

今回は、震度5強の地震により厨房機器が使用不能な状況が続き、α化米(水だけで調理できる長期保存用乾燥米)を使い切った状況を想定しました。栄養科の職員は必要な食数を算出し、災害備蓄倉庫から食材やスーパーかまどなどの調理器具を野外に運んで100名分の粥を調理。事務部の職員は湯を混ぜるだけでできる職員用のサバイバルフーズを準備しました。

試食会場には災害時の患者食と職員食のサンプルを展示し、栄養科の職員がこの日のメニューの内容や調理法、食材の保管場所、提供方法について説明。試食した医療従事者は、「サバイバルフーズは非常食と思えないほどおいしい。災害時にすぐに食べられて腹持ちのよい食事を提供してもらえるのはありがたい」「乳幼児から高齢者まで、さまざまな疾患の患者さんに合わせた災害食が常に準備され、安全に速やかに提供できるシステムが構築されていることに驚きました」「改めて、個人でも診療科としても数日分の水や食料を常備しておく必要があると思いました」などと感想を話していました。

栄養科の石井宏明科長は、「2年ぶりの炊き出し訓練でしたが、関係者の協力により、調理器具の設置から配膳まで適切に実施できました。当院では大規模災害に備え、患者さんのために1週間、職員用に3日間の食事を提供できるよう準備しています。固形食や流動食、経管経口栄養食、アレルギーや栄養素を考慮した食事など、一人ひとりの患者さんの疾患や状態に合わせた食事を誤りなく速やかに提供するため、病棟の看護師と連携した配食訓練も定期的に実施しています。特に災害時には、“食べること”が人々の大きな力になります。今回の訓練を検証し、災害時に迅速・適切に対応できるようさらに努力したい」と語っています。