医学部医学科の教員らが、7月12日に湘南キャンパスで開催された「第33回日本運動生理学会大会」(企画運営:体育学部)の特別シンポジウムに登壇。医学部が付属病院や体育学部、スポーツ医科学研究所などと連携して展開している「スポーツ医学プロジェクト」の活動を紹介しました。
本プロジェクトは、国内外での活躍を目指す学生アスリートの支援を目的として2022年に開始。湘南キャンパスで活動する選手のメディカルチェックや負傷した際の即時診療などに取り組んでいます。24年には、「スポーツ医学と運動器を中心とした先端医療国際リーダー育成プログラム」として文部科学省「高度医療人材養成拠点形成事業」の選定を受け、アスリートの支援拠点となる「TOKAI SPorto Med Hub(TSMH)※」を創設。研修医や大学院生、学生の研究活動、海外留学、臨床実習、キャリアパスを支援するとともに、スポーツ医学領域における教育、研究、臨床の充実を図っています。
今回のシンポジウムでは、「多元的データに基づくアスリートサポート~TOKAI SPorto Med Hubの立ち上げ~」をテーマに、座長の酒井大輔教授(外科学系整形外科学領域)ら6名が登壇しました。初めに、酒井教授の研究室に所属するジョルディ・ショール特定研究員が、疲労骨折のリスク要因とその管理に関する系統的調査から得られた予防の重要性について説明。本学科総合診療学系総合内科学領域の小澤秀樹教授は、国民スポーツ大会で実施されたメディカルチェックや血液検査の結果を選手に還元した成果を発表し、茅ケ崎中央病院ウイメンズセンター婦人科の池田仁惠医師は、月経周期や骨代謝の評価、栄養支援といった女性アスリートに対する多面的な支援体制について報告しました。



続いて、医療法人救友会理事長の阿部智史医師が、eスポーツ選手に特有の身体的・精神的負荷に対する医療的支援について説明。酒井教授は、問診や採血、動画、モーションキャプチャーなどから取得した多様な生体データに基づくアスリート支援の意義や今後の方向性について語り、大学院医学研究科先端医科学専攻(博士課程)3年次生の相馬葉月さんはTSMH立ち上げの背景や課題、展望を紹介しました。各発表後には活発な質疑応答を交わし、会場からは、「『TOKAI SPorto Med Hub』の取り組みを充実・発展させるとともに、広く発信してほしい」といった期待が寄せられました。



※特別シンポジウムの登壇者と発表テーマは以下のとおりです。
テーマ「多元的データに基づくアスリートサポート~TOKAI SPorto Med Hubの立ち上げ~」
1.「Risk factors and management strategies for fatigue fractures in adult athletes:a systematic review」
ジョルディ・ショール(東海大学医学部特定研究員)
2.「国民スポーツ大会メディカルチェックと血液検査所見のフィードバックについて」
小澤秀樹(東海大学医学部医学科総合診療学系総合内科学領域教授、
神奈川県スポーツ協会スポーツ医科学委員会)
3.「女性アスリート特有の課題と東海大学女性アスリート支援」
池田仁惠(茅ヶ崎中央病院ウイメンズセンター婦人科医師、湘南医療大学保健医療学部特任准教授、
東海大学医学部医学科専門診療学系産婦人科学領域客員・非常勤准教授)
4.「eスポーツプレーヤーに特有の課題と、その医療サポート体制について」
阿部智史(医療法人救友会理事長、東海大学医学部医学科総合診療学系総合内科学領域助教)
5.「バイオモーション×多次元生体データで描くアスリート支援の未来図」
酒井大輔(東海大学医学部外科学系整形外科学領域教授)
6.「TOKAI SPorto Med Hubの立ち上げの苦労と展望」
相馬葉月(東海大学大学院医学研究科先端医科学専攻3年次生、東海大学スポーツメディカルコーディネーター)
※TOKAI SPorto Med Hub(TSMH)
「SPorto」は、“Sports, Performance, Optimization, Research, Technology, Outreach” を統合した造語。TSMHでは、「スポーツ」「パフォーマンスの最適化」「研究・テクノロジー・アウトリーチ」を融合し、高度医療人材の育成に注力しています。