総合医学研究所では8月27日に伊勢原キャンパスで、「2025年度第1回公開セミナー」を開催しました。このセミナーは、本研究所が推進する研究プロジェクトについて所員が理解を深めるとともに、当該研究のさらなる進展を目指して企画しています。今回は、感染免疫機能部門の津川仁准教授(医学部医学科基礎医学系生体防御学領域)によるコアプロジェクト2「消化管内細菌由来外膜小胞が起点となる疾患の発症分子メカニズム解明とその予防法開発」の関連研究として、名古屋大学高等研究院講師で同大学医学部附属病院産婦人科医師の横井暁氏が講演。所員をはじめ医学部の教職員や大学院生ら多数が参加しました。

婦人科腫瘍が専門の横井氏は、医師として診療に従事するとともに、エクソソーム(細胞間の情報伝達などの働きを持つ細胞外小胞)やがんの研究にも取り組んでいます。当日は、「実践・臨床医によるトランスレーショナル細胞外小胞研究」をテーマに、がん細胞が放出する細胞外小胞によるがん転移のメカニズムや、がん由来の細胞外小胞にDNAがパッケージングされる分子機構に関する研究成果を紹介。さらに、医工連携研究で進展した細胞外小胞に関する革新的な臨床応用研究など、グローバルかつ学際的に展開している最先端研究についても説明しました。終了後には活発な意見交換を行い、最後に本研究所の稲垣豊所長が講師への謝辞と閉会の言葉を述べした。
企画した津川准教授は、「学術的な内容はもちろん、研究テーマに対するアプローチの方法や研究体制を確立する手法に至るまで、大変参考になる内容でした。診療に従事する中で生まれるリサーチクエスチョンを的確に把握して研究のステージに落とし込み、臨床への還元を目指す横井先生のアクティブな姿勢から、聴講者はアカデミアに所属する研究者として強いインパクトを受けたと思います」と話していました。



※津川准教授が展開する研究の詳細は、下記URLからご覧いただけます。
https://sites.google.com/view/host-defense-mech-transkingdom/home