「東海大学看護研究会第14回学術集会」を開催しました

伊勢原キャンパスで9月14日に、「東海大学看護研究会第14回学術集会」を開催しました。本研究会は、学校法人東海大学の看護教育機関と医学部付属病院機関の教員や看護職者が看護教育や研究、看護の質向上目指して創設し、毎年学術集会を開いています。近年の組織改編などを受けて2024年度以降は隔年での開催を決定したことから、今回は26年度の学術集会に向けた前哨大会として、「2025年度特別講演・学術シンポジウム」と題して実施。医学部看護学科と医学部付属病院、付属八王子病院、看護師キャリア支援センターの教職員や学生ら162名が参加しました。

初めに、大会長を務めた看護学科の井上玲子教授(大学院医学研究科看護学専攻長)が登壇。「患者さんや家族の心を動かす最高のケアは看護師一人ひとりの笑顔と考え、『笑顔』をテーマに企画しました。特別講演の講師には、乳がんの闘病経験を元にチャリティー団体『スター混声合唱団』を立ち上げて団長を務め、がんに関する知識と理解を呼びかける活動を展開されている、ものまね漫談の山田邦子さんをお招きしています。楽しく実り多い会になるよう願っています」とあいさつしました。

続いて、本学をイメージしてブルーの衣装で登場した山田氏が、「笑顔で免疫力を!」をテーマに講演。デビュー当時のネタやものまねで会場を和ませた後、「大きい声を出すと免疫力が高まる」と語り、参加者全員で季節の歌を合唱しました。また、「自分が不調な時は好調な人についていき、逆に調子がいいときは困った人に声をかける。そんなふうにできればいいと、がんになって分かるようになりました」と振り返り、持ち歌の「明日は今日より」を披露。最後に、乳がんの検査・手術でのとまどいや驚き、発見を、ユーモアを交えて紹介し、「泣くのも笑うのも生きているからこそ。ときどきは泣いてもいいんじゃないかしら。明日は一緒に大笑いしましょう!」と語りかけ、自身が作詞した「しあわせの青い鳥」を熱唱しました。参加者からは惜しみない拍手が送られました。

「笑顔でつなぐ一つのチーム 乳がん最前線―ホリスティックなアプローチをめざして―」と題した学術シンポジウムでは、看護学科の今泉郷子学科長が座長を務め、付属病院機関の医療従事者4名が登壇。付属八王子病院の鈴木育宏副院長(乳腺・内分泌外科医師)は、患者の人生を支えるために看護師ができる実践的なアプローチについて解説し、付属病院の乳がん看護認定看護師・松尾典子さんは、乳がん患者と家族を多角的にサポートする認定看護師の役割を紹介しました。付属病院の社会福祉士・崔誠樹さんは、医療ソーシャルワーカーの支援事例やがん相談支援センターの取り組みについて説明し、理学療法士の油井里美さんは、がん治療におけるリハビリテーションの意義や手術後の乳がん患者に対するリハビリについて解説。最後に参加者と登壇者が活発な質疑応答を交わしました。

参加者からは、「山田さんのご講演では、ひさしぶりに思い切り笑いました。一方で、病院での体験談から多くの気づきも得られました。当たり前のように続けていた患者さんへの説明や案内を見直したい」「シンポジウムは、実効性のある多職種連携についてあらためて考える機会になりました」といった感想が聞かれました。終了後にあいさつに立った井上教授は、「来年度は口演やポスターによる研究発表を行うなど、より多くの方に参加してもらえる会にしたいと考えています。皆さんと共に本研究会を充実・発展させていきたいと思います」と閉会の言葉を述べました。