
医学部医学科専門診療学系皮膚科学領域の山﨑文和准教授(医学部付属病院乾癬・アトピーセンター長)がこのほど、日本乾癬学会「UCB Research Grant Award 臨床研究部門」を受賞。9月6日と7日に札幌市で開催された同学会「第40回学術大会」で授賞式が行われました。この賞は、乾癬などの皮膚疾患に関する先進的な基礎・臨床研究の支援を目的としたものです。山﨑准教授が取り組む「日本人における乾癬および化膿性汗腺炎患者でのBDHQとTEGを用いた食事療法及び性格検査と治療効果の相関性についての検討」に対し、研究費が助成されました。
慢性的皮膚疾患である乾癬と化膿性汗腺炎の治療には食事療法が有用とされ、個別の栄養指導が行われていますが、食事管理の徹底や継続が難しい患者が多いことが課題となっています。今回受賞した研究は、過去1カ月間の食習慣を「BDHQ」と呼ばれる質問票を使って定量的に調べた結果と、人の性格を5タイプに分類する性格検査「東大式エゴグラム」(TEG)の相関性を検討し、患者の性格に合わせた栄養指導・管理方法の構築を目指すものです。山﨑准教授は、「食事療法を徹底・継続してもらうためには、励ましたり成果を強調したりして患者さんの治療意欲を高めることが大切です。一人ひとりの性格に合わせた栄養指導の方法を科学的に検討し、食事療法の効果を高めたいと考えています」と話します。
山﨑准教授は、乾癬や化膿性汗腺炎をはじめとする皮膚疾患と内科的疾患との関係にいち早く注目。乾癬が心筋梗塞や脳梗塞といった血管疾患を誘発することなどを明らかにしてきました。2021年には、メタボリックシンドロームや高血圧、2型糖尿病、心血管疾患などの病気と乾癬との関連をまとめた論文が『The Journal of Dermatology』に掲載され、最もダウンロードされた論文の執筆者に贈られる「Most Download Articles 2024」を受賞しています。23年度に本学科に着任して以降は、医学部付属病院「乾癬・アトピーセンター」の新設に携わり、25年度に初代センター長に就任しました。
山﨑准教授は、「本センターは、乾癬やアトピーだけでなく、あらゆる皮膚疾患と内臓疾患との関連に着目して診療科横断的に診断・治療に取り組む、国内初の機関としてスタートしました。循環器内科や脳神経内科、腎内分泌代謝内科といった本病院のさまざまな診療科と協力して皮膚疾患のある患者さんの全身を診察し、他の疾患の早期発見・早期治療につなげる取り組みを進めています。今後は地域の医療機関とも連携し、健康寿命の延伸に寄与する質の高い医療を効率的に提供していく計画です。併せて、皮膚疾患に関する多角的な研究も推進していきます」と意欲を語っています。