「東海大学健康・スポーツ科学セミナー」を開催しました

大学院体育学研究科では7月19日に湘南キャンパスで、「東海大学健康・スポーツ科学セミナー」を開催しました。このセミナーは学内外から健康やスポーツ科学の専門家を招き、大学院生や教職員に知識の幅を広げてもらおうと、年に4回開催しているものです。今年度2回目の開催となった今回は、國學院大學人間開発学部健康体育学科准教授の備前嘉文氏が、「レジャー活動への参加における消費行動:動機・制約・交渉からの検討」について講演しました。

備前氏はスポーツやレジャー活動を取り巻く環境について、「現在、行政や民間団体によるスポーツ実施率の向上を目指した取り組みが展開されています。しかし、成人が週に1回運動する割合は現在42.5%と低調で、欧米人の平均とされる65%には及びません。運動不足は、医療費の増加にもつながっており、国の財政を圧迫する要因にもつながっています」と解説しました。さらに、「スポーツ実施率が低い背景には、日本人の勤勉さなどが挙げられます。欧米人は数カ月の休暇をとることもありますが、現代の日本社会でそれを実現するのはなかなか難しい」とも語り、スポーツと生活の調和を生むことの重要性を語りました。その後、人間が運動するまでの思考や行動についても解説。「多くの人が運動を選好するときには、健康や競技への興味はもちろん、『仲間や友人との交流を深めたい』『達成感を味わいたい』という動機を持っています。しかしながら、仕事の都合や体調不良などの個人的制約、友人やチームメートらとの関係の中で生まれる対人的制約、天候や施設不足による構造的制約から、なかなか運動することができないことも多くあります。そこで、必要なのが制約を軽減し、運動することを優先させようとする交渉行動で、動機、制約、交渉の3つを理解し、イベントの企画などを行うことでスポーツ振興にもつながるでしょう」と語りました。最後には、備前氏がマラソン大会を利用して集めたアンケート結果をもとに、参加者の動機、制約、交渉に関する具体的なデータを紹介しました。

閉会に当たり登壇した山田洋教授(大学院体育学研究科体育学専攻主任)は、「動機や制約、交渉という3つのバランスについて分かりやすく話していただきました。今回の発表は、内容だけでなく発表の方法やスライドの作り方も大学院生の参考になったと思います」と語り、参加した大学院生は、「今後、スポーツ実施率を上げるためにイベントや企画を考えることがあると思うので、今回の内容を生かしたい」と話していました。

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