体育学部生涯スポーツ学科卒業生で男子柔道部OBの芦田弘毅さん(2017年度卒)がこのほど、在アラブ首長国連邦(UAE)日本国大使館の在外公館長表彰を受賞。2月3日にアブダビのファティマ・ビント・ムバラクスクールで開催された第7回柔道日本大使杯で磯俣秋男駐UAE特命全権大使から賞状と盾が贈られました。2014年にUAEのアブダビ首長国皇太子ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下が来日した際、柔道の競技成績と人材育成の両面で実績のある本学に対しUAEナショナルチームの強化と柔道を通じた青少年教育への協力依頼があり、芦田さんは本学から2人目の指導者として21年4月から今年1月までの約3年間、UAE柔道連盟に派遣されました。現地では、UAEナショナルチームおよびスペシャルオリンピックスチームの選手育成に尽力。同連盟唯一の日本人コーチとして、柔道に関心がある一般市民を対象としたレッスンも積極的に行い、柔道振興に大きく寄与したことが評価されました。
芦田さんは在学中、NPO法人柔道ソリダリティーが海外の指導者を育成するために湘南キャンパスで開いたコーチングセミナーに参加。「パレスチナやイスラエルのコーチたちが交流を深める姿を見て、柔道を通した国際貢献への思いが強くなりました」と、本学卒業後にJICA海外協力隊の一員としてウズベキスタンへと渡り、子どもから大人まで幅広く柔道を教えるとともに、ナショナルチームや視覚に障がいのあるブラインド柔道の選手らも指導してきました。帰国後、東大阪市での教員を経てUAEの首都・アブダビへ渡りました。「UAEはもともと柔道が盛んな国でしたが、コロナ禍の影響で競技人口が減り、ナショナルチームも公園の駐車場で練習しているような状況でした」と振り返ります。在UAE日本国大使館の支援の下、練習場所を確保しながら、ナショナルチームや日本人学校、スペシャルオリンピックスの代表チームで知的障がいのある選手たちも指導。唯一の日本人コーチとして「自分がいなくなったらアブダビの柔道が止まってしまう」との強い思いを持って指導に当たり、スペシャルオリンピックスの合宿でアルアインに帯同しながら片道150kmを運転してアブダビに戻り、日本人学校で指導した後、再び合宿に戻るという生活を送った時期もありました。
「滞在中は英語やウズベク語を一から独学で学びましたが、柔道の技術を単に言葉だけで教えるよりも実際に組んで何かを伝えられればと考えていました。とにかく目の前のことに一生懸命取り組んできた日々だったので、まさか表彰されるとは思っておらず、知らせを聞いたときは驚きました。これまでの取り組みを評価していただき、大変光栄です」と芦田さん。「東海大学の創立者・松前重義博士は『柔道は、最も平和的かつ礼節を重んずるスポーツであり、それは日本の精神の結晶であるといってよい。私は、この精神を世界に広めてゆきたい』という言葉を残されました。私自身、東海大の学生や卒業生が柔道を通して果たす国際貢献に大変な意義を感じています。海外に興味のある後輩たちにはぜひ挑戦してほしい」と話しています。