先進生命科学研究所が「第13回セレン硫黄レドックス触媒ネットワークワークショップ」を開催しました

先進生命科学研究所では9月10、11日に神奈川県川崎市のShimadzu Tokyo Innovation Plazaで、「第13回セレン硫黄レドックス触媒ネットワークワークショップ」を開催しました。2011年に組織されたセレン・硫黄のレドックス化学および触媒に関する研究者の国際ネットワーク(SeS redox&catalysis)の活動として毎年世界各国で実施されており、16年には湘南キャンパスでも開催しています。今回は本研究所の岩岡道夫所長(理学部化学科)が実行委員長を務め、荒井堅太准教授が事務局を担当。「有機セレンおよび有機硫黄化合物の酸化還元反応と触媒作用、およびバイオロジーへの展開」をテーマに企画し、両日併せて約80名が参加しました。

期間中は、世界各国の研究者による講演や学生のポスターセッションが行われ、国や世代を超えて交流を深めました。本学からも大学院生が研究発表に参加し、大学院総合理工学研究科博士課程後期の有賀生馬さんが若手講演賞を、理学研究科修士1年次生のイ・ビョンユルさんがCSJジャーナル賞をそれぞれ受賞しました。セレンを活性中心にもつ抗酸化酵素であるチオレドキシンレダクターゼの作用機序解明に向けた研究に取り組む有賀さんは、「酸化還元恒常性を標的とした新規セレン含有複素環化合物の抗がん作用」をテーマに発表。「研究室では日ごろ、酵素の活性中心をモデル化したペプチド分子を設計して合成し、その抗酸化作用をさまざまな分析手法を用いて解析しています。ワークショップでは海外の先生方から研究のアドバイスを多くいただき、大変勉強になりました。今回の受賞はとても光栄であり、今後の研究遂行の励みになります」と振り返ります。指導にあたった岩岡教授は、「有賀さんは先進生命研の特定助手としても研究に励んでおり、ペプチドの合成だけでなく、細胞やモデル動物を使った実験にもチャレンジしています。今回の国際会議での受賞を励みとして、さらに研究者として成長してもらいたい」と話しています。イさんは、「インスリンの化学合成に向けたジフェニルエーテル架橋ユニットの開発」と題して発表し、簡便なインスリン製剤の合成を目指してボロン酸化学を基盤とした新しいペプチド分岐ユニットの開発に取り組む自身の研究内容を紹介。受賞について、「とてもうれしく貴重な経験となりました。これまで以上に研究や勉強を頑張って、将来は人の役に立つ化学者になりたい」と語ります。指導にあたった荒井准教授は、「血糖降下作用のあるインスリンの化学合成は難しいですが、ペプチド鎖を枝分かれさせる分子である『ペプチド分岐ユニット』を開発できればインスリン合成が簡便になります。今回の受賞は、指導教員の私にとっても励みになる結果となりました」と話しています。