理学部化学科の大場教授が「日本火山学会賞」を受賞しました

理学部化学科の大場武教授がこのほど、2025年度日本火山学会賞を受賞しました。同賞は、火山に関する学術研究において顕著な功績をあげた研究者に対して日本火山学会が授与するもので、火山学の進展に寄与した研究業績を顕彰することを目的としています。

大場教授は火山化学を専門とし、神奈川県・箱根山などをフィールドに火山ガスの観測及び試料分析に従事。20年には、宮崎県・えびの高原の硫黄山で18年に起きた水蒸気噴火に関連する火山ガスの組成とマグマ起源成分の挙動を解明し、火山活動の予測や災害対策に役立てられています。また、火口湖に関する国際的なワークショップを主催したほか、科学技術振興機構の採択事業「カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成」の研究代表者を務めて留学生の教育に携わるなど、多岐にわたる活動が評価され今回の受賞につながりました。

大場教授は、「火山噴火を観測・予測する技術は日々進歩していますが、検証結果を本質的に理解するためには化学の知見が不可欠です。国内には火山化学の研究者が数少ないこともあり、長年専門家として取り組んできた成果を評価していただいたのだと思います。また、カメルーンの人材育成は留学生の受け入れ体制が整っている東海大学だからこそできた取り組みであり、学部の先生方や職員の皆さんに多大なご支援をいただいたことを今でも感謝しています。当時博士号を取得した留学生たちとは今も学会などで顔を合わせることがあり、そのような関係性を構築できたことも大きな財産です」と笑顔で話します。「研究は押し付けられてやるものではなく、自分が面白いと思わなければ続きません。学生を指導する際にも、面白いと感じてもらえるよう意識してきました。地下の亀裂を伝わって地上に噴出する火山ガスは、地下から届く手紙のようなもの。マグマの状態を知る唯一の方法である火山化学の魅力を広く伝え、今後も後進の育成に携わっていければ」と語っています。