A.宇宙のガスやチリが重力で集まり、高温になった中心で核融合が始まると星になります
理学部物理学科 櫛田淳子 先生

私たちの宇宙は約138億年前、超高温・高密度に極限まで凝縮された状態から爆発的に膨張するビックバンをきっかけに生まれたといわれています。そこからさまざまな星が生まれ、約46億年前には私たちが生きる地球が誕生しました。
夜空に輝く星々は、ガス雲というガスとチリの集合体の中で生まれます。密度が濃い部分にある物質同士が万有引力によって引き合い、集まり続けるなかで、次第に非常に高温・高密度な状態となります。そしてある時、中心部で核融合反応が起きると、自ら光る恒星になるのです。
生物に寿命があるように、星にも寿命があります。生物と違うのは、その質量によって迎える最後が変わる、ということです。太陽の質量8倍未満では星の中心核以外が周りで惑星状星雲(ガス雲)になり、中心核は熱が冷え切るまで輝き続ける白色矮星になります。一方で質量8倍以上の星では中心核もろとも破裂する超新星爆発が起こります。
1987年の超新星爆発(1987A)時の観測では、約16万光年先から目に見える光よりも先にニュートリノという、物質で一番小さな粒子が飛来し、検出されました。これは超新星爆発の仕組みを紐解く大発見で、電磁波観測のみだった天文学に、それ以降はニュートリノ観測が加わり、さまざま装置を用いて同時に観測する研究が中心となるマルチメッセンジャー天文学へと発展したのです。
そのなかで私たちはブラックホール周辺や超新星爆発で放たれるガンマ線を主に扱っていて、南極のニュートリノ観測所と協力して約4600万光年離れた「NGC1068」という天体を観測しています。ガンマ線は非常に高いエネルギー線で、肉眼では見えません。観測にはCTA望遠鏡という、これまで見えなかった高エネルギーな天体の解明やダークマターなどの研究が可能な世界最大の望遠鏡が必要で、世界中の研究者による共同研究として進められています。今はカナリア諸島で1機運用されているのですが、4号機までの建設計画が進められており、これが完成すればさらなる研究の進展を望めると期待しています。
宇宙は発見が新たな謎を生み、謎が尽きない分野です。そのために多くの手法、多くの装置を用いた同時観測という異分野との協力で、今日では解像度の高い観測ができるようになりました。一人では決して叶わない宇宙の神秘の解明がそこまで来ています。星の一生から宇宙の起源まで、この広大な謎を一緒に紐解く面白さを、ぜひ体験してみませんか。
くしだ・じゅんこ 1974年神奈川県生まれ。理学博士。東海大学理学部卒業、東京工業大学大学院博士課程修了。2003年度より東海大学勤務。2012年度より現職。