
医学部付属病院高度救命救急センターの看護師・池原卓さんが、今年2月11日に沖縄県立武道館で行われた全日本剣道連盟による七段審査会に臨み、合格を果たしました。
剣道の昇段には、段位に応じた一定の経験年数が必要となります。池原さんは13歳で初段を取得してから2017年の六段取得まで、すべての段位に最短の経験年数で合格。七段も最短となる6年後の合格を目指して鍛錬に励んでいましたが、20年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大で稽古の中断を余儀なくされました。高度救命救急センターで救急患者の対応に当たっていた池原さんは、本病院に設置されたコロナ患者専用病棟の看護師に選ばれ、主に重症患者のケアに従事。コロナ禍で対面の稽古ができない状況にあっても、時間を見つけては素振りや走り込みなど一人でできる鍛錬を続けました。「この間は、家族の大切さをあらためて認識するとともに、自分の生き方や剣道に対する考え方を見直す期間にもなりました」と振り返ります。
満を持して臨んだ審査会の会場は、子どものころに試合をした故郷・沖縄の思い出の深い武道館。「審査に臨んで胸に湧いたのは、患者さんや病院の仲間、家族をはじめ、周囲の人たちへの感謝の思いでした。七段にも最短で合格するという目標には届きませんでしたが、親や恩師に成長した姿を見せられてよかった」と話します。「剣道では相手と対峙したら逃げることは許されません。剣道で培った精神力がコロナに立ち向かわせ、逆にコロナの経験は自分を鍛え、剣道の原点に立ち返らせてくれました。これからも今できることをコツコツと続け、仕事も剣道にも精進していきたい」と意欲を語っています。

