医学部付属病院高度救命救急センターが秦野市と連携しICTを用いた救急医療支援システムを導入しました

医学部付属病院高度救命救急センターではこのほど、秦野市消防本部と連携してICT(情報通信技術)を活用した救急医療支援システムを導入しました。救急患者の脈拍・呼吸などのバイタルサインや外傷の写真、心電図などのデータを救急隊がモバイル端末から病院に送るもので、4月12日から本格的な運用を開始しました。

本センターでは救命救急医療のさらなる質の向上や業務の効率化を目指し、データとデジタル技術の活用により業務プロセスの改善を図るDXを進めています。今回導入したシステムは、今年2月から本センターで運用を開始した、患者情報の入力やスタッフの情報共有、研究用データの蓄積を同時に実現するソフトウエアを活用したものです。

秦野市消防本部との調整に当たった上畠篤医師(医学部医学科助教)は、「これまでは、救急隊員が電話で説明した患者さんの容態を病院のスタッフが手書きした後、電子カルテに入力していました。新しいシステムでは、バイタルサインはもちろん、保険証やお薬手帳の内容も画像からOCRでテキストデータに変換して一括して電子カルテに取り込めるので、大幅な業務効率化につながります」と説明。三浦直也医師(同講師)は、「患者さんの状態を正確かつリアルタイムに把握できるのも大きなメリット。患者さんの情報は大型掲示板に映し出され、スタッフは速やかに情報を共有して必要な医療器具などの準備を整えられます。到着後は迅速に治療を始められるので、救命率の向上や後遺症の軽減が期待できます」と話します。

DX推進を統括する土谷飛鳥医師(同准教授)は、「導入したシステムは、患者さんと救急隊、本センターの三者にとって有意義と考えており、救急車だけでなくドクターカーやドクターヘリでの運用も検討中です。今後もさまざまな視点から業務改善を進め、迅速・適切な救急医療に貢献していきたい」と語っています。