医学部医学科の中川教授が「救急功労者表彰」を受賞しました

医学部医学科の中川儀英教授(総合診療学系救命救急医学領域)がこのほど、「令和6年度救急功労者表彰 総務大臣表彰」を受賞。「救急の日」の9月9日に東京都内で表彰式が行われました。この賞は、救急業務の推進に貢献し、国民の生命身体を守るとともに社会公共の福祉の増進に顕著な功績があった者に贈られています。

中川教授は医学部付属病院で救命救急医療に携わり始めた1990年、消防署との連携や現場における迅速・的確な救命処置の重要性を痛感し、地元医師会の協力を得て週1回3カ月間、地域の消防署に当直。救急車に同乗して救急隊員との“顔の見える関係”を構築するとともに、現場で求められる判断力や対応力の向上に努めました。また、94年以降は医学部6年次生の救急車同乗実習に携わるなど、医師と救急隊との協力体制の維持・強化も図ってきました。91年には交通科学協議会(現・交通科学学会)によるドリターヘリを活用した救命救急の効果検証事業、99年から2000年には厚生省(現・厚生労働省)によるその試行的事業、さらに、2002年に開始された神奈川県におけるドクターヘリの導入・運用に尽力するなど、国内における「空の救急」のパイオニアとして貢献。このほか、湘南地区メディカルコントロール協議会の委員を20年以上にわたり務め、地域救急医療の発展と円滑な運用にも尽くしてきました。「ドクターヘリ事業の構築は、“少しでも早く現場に駆け付けて命を救いたい”という思いを同じくする救急隊員がいたからこそ実現できた」と振り返ります。

中川教授は1987年3月に本学科を卒業後、医学部付属病院での研修医を経て90年に同救命救急科に入局。黎明期にあった救命救急医学を追究しようと、95年から2年間、アメリカの「The Institute of Critical Care Medicine」に留学し、心肺蘇生の研究に従事しました。帰国後は、本病院救命救急科の診療科長、高度救命救急センター所長などを歴任。地震などの災害現場における医療活動や災害医療の研究・教育にも力を注いでいます。「“断らない”“あきらめない”を常に意識してきました。生死の境から復活して日常生活に戻った患者さんの思い出はいつも心の宝石箱にあり、それが医師としての原動力になっています。各診療科と看護師をはじめとする多職種の協力や、サポートしてくださるすべての人々への感謝を忘れず、本病院と地域の救急医療関係者が共有する“情熱と夢”を確実に次世代に引き継ぐために努力を続けたい」と話しています。