
農学部が11月1日に熊本県菊陽町の商業施設「ゆめタウン光の森店」で、学生たちが阿蘇くまもと臨空キャンパス(以下、臨空キャンパス)で育てた黒豚の精肉を販売しました。本学部では多様な実習教育を展開し、学生たちは家畜の飼養管理から加工までを実践的に学んでいます。販売会は、学生たちに食の安全意識や市場のニーズを肌で感じ、流通や販売への理解を深めてもらおうと、ゆめタウンを運営する株式会社イズミと本学の農学教育実習センターが協力して昨年度に続いて企画したものです。
当日は、ロース、バラ、ウデ、モモといった部位別にカットされた商品が並べられ、本センターの教職員と学生が店頭に立って黒豚の魅力をアピール。試食も用意し、来店した地域住民ら一人ひとりに生産の過程やキャンパスの特徴などを説明しました。今回販売したのは、健康管理だけでなくアニマルウェルフェアにも配慮して丁寧に育ててきた黒豚の精肉です。飼料には本学や周辺地域で収穫されたサツマイモと米ぬかを合わせて乳酸発酵させた「サツマイモサイレージ」と「酒粕」を加えています。本センターの山中猛技術職員は、「飼料に加えたサツマイモは脂肪の融点を高くし、さっぱりとした脂身に仕上がります。また、酒粕の多くは産業廃棄物として本来捨てられてしまうものですが、高タンパクでアミノ酸やミネラル、食物繊維を多く含んでいるので、豚の腸内環境も整えます。昨今、餌代も高騰する中で代替飼料として活用しました」と説明します。商品を手に取った地域住民からは、「柔らかくておいしく、学生さんを応援したい気持ちもあって購入しました」「夕飯はすき焼きにしようと思って材料をカゴに入れていましたが、黒豚のおいしさに思わず購入を決めました」といった感想が聞かれました。試食を呼びかけた佐藤寛太さん(農学部動物科学科2年次生)は、「実習で掃除や餌の調合をしたので、こうして商品として並ぶのは感慨深い。試食もしましたが、甘みがあり、湯通ししてポン酢をかけただけでとてもおいしかったです。お客さんにも“おいしい”と言ってもらえてうれしい」と話していました。






また、販売会に先駆けて10月28日から30日には、臨空キャンパスの学生食堂で黒豚を使ったランチメニューを提供しました。学生たちに自分たちで育てた黒豚を味わってほしいと初めて企画したもので、「ポークチャップ」「トンカツ」「ポークステーキ」を日替わりで販売しました。