
総合農学研究所では12月19日に阿蘇くまもと臨空キャンパスで、「第6回ランチョンセミナー」を開催しました。教員の研究内容や最新の研究話題を共有しようと月に1回程度開いているものです。今回は農学部食生命科学科の平野将司准教授が「『道程』―化学物質による環境問題:生物蓄積と受容体の研究」をテーマに講演。学生や教職員約40名が参加しました。
管理栄養士の国家資格を持つ平野准教授は、科学的知見と行政施策・措置との橋渡しとなる「レギュラトリーサイエンス」の分野で化学物質の環境影響について研究しています。セミナーでは、九州のある海域での臭素系ダイオキシンの分析結果を示し、カキやアミ類などの海産魚介類では高濃度で検出されることを報告しました。さらに二枚貝を用いて、厳しい環境下での経年劣化や耐候性を評価する暴露試験を実施し、48時間および1週間の暴露によって遺伝子発現パターンが変化することを確認。特に神経系への影響や筋収縮に関わるミオシン遺伝子の発現抑制が濃度依存的に観察されることを示しました。また、受容体研究では甲殻類の脱皮ホルモン受容体(ECR)に着目し、クラスリンというタンパク質がコアクチベーターとして機能する可能性を発見しました。平野准教授は、ゲルシフトアッセイやRNAiによるノックダウン実験を通じて、クラスリンがECRの転写活性化に関与することも証明しました。
セミナーの最後には、高村光太郎の詩「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」を引用し、研究における新規性の重要性と未知への挑戦の意義を述べました。学生たちに向けて、「研究では予想外のことが起こりますが、それを恐れずに新たな道をつくっていくことが大切です」と語りかけました。

