海洋学部水産学科の髙見宗広講師と北海道大学総合博物館の田城文人助教の研究グループが、このほど深海魚の未記載種を発見。標準和名を「ホソオホラアナゴ」、学名を Ilyophis fukuii と命名し、新種として記載しました。この研究成果をまとめた論文が、9月16日に魚類学の学術誌『Ichthyological Research』にオンライン掲載されました。


研究グループは、太平洋、大西洋、インド洋に広く分布するとされるリュウキュウホラアナゴ Ilyophis brunneus と同定されてきた個体の中に、尾部の太さが大きく異なる「太尾型」と「細尾型」が存在することに着目しました。深海魚は採集が難しく、当初は比較に十分な標本がありませんでしたが、10年以上にわたって駿河湾をはじめとする南日本で採集調査を続けるとともに、国内外の博物館や大学に所蔵されている標本も調べ、稚魚から成魚まで80個体を超える標本の形態データを集めました。その結果、2タイプは尾部の太さに加え、脊椎骨の数や鱗の形状、側線管の長さにも明瞭な違いがあることが分かりました。さらに、米国国立自然史博物館に保管されているリュウキュウホラアナゴのホロタイプ標本(学名の基準となった標本)と比較した結果、太尾型がリュウキュウホラアナゴに該当し、細尾型はこれまで学名のなかった別種であることを明らかにしました。このように、外見がよく似ているため別種と認識されにくい種は「隠蔽種」と呼ばれます。
新種の標準和名「ホソオホラアナゴ」は、リュウキュウホラアナゴと比べて尾部が細いという特徴に由来します。学名の種小名「fukuii」は、海洋学部で長年にわたり深海魚研究に取り組んできた福井篤教授の功績をたたえて献名したものです。髙見講師は、「本学では海洋調査研修船『望星丸』と小型調査船『北斗』を用いた深海魚の採集調査を継続し、知見と技術を蓄積してきました。今回の新種発見は、こうした長年の取り組みによって標本を集めてきたからこそ得られた成果です。今後は、世界各地で見つかっているホソオホラアナゴに似た個体も詳しく調べ、深海魚の多様性や分布のさらなる解明を目指します」と話しています。