海洋研究所所長に前海洋研究開発機構理事長の平朝彦教授が就任しました

東海大学海洋研究所の所長に、4月1日付けで前海洋研究開発機構(JAMSTEC)理事長の平朝彦教授が就任しました。本研究所は、海洋学部の学科間にまたがる共同研究を企画運営するほか、海洋環境や海底地震等の調査研究、実験設備を利用した水産増殖に関わる研究を展開。ほかにも微細藻類の遺伝子やイルカ、人工衛星観測データの利用などさまざまな研究を推進しています。

平所長は、地質学が専門で、東京大学海洋研究所教授、JAMSTEC地球深部探査センター初代センター長などを経て、2012年度にJAMSTEC理事長に就任。地球深部探査船「ちきゅう」プロジェクトのリーダーとして国際深海掘削計画の推進に従事し、19年9月からは顧問を務めています。

所長就任にあたり、「東海大学には海洋調査研修船『望星丸』という素晴らしい船舶があり、研究所の置かれている清水キャンパスから近い清水港にはJAMSTECの『ちきゅう』が停泊するなど、地球や海洋に興味のある学生にとってこのうえない学習環境であると感じています。今後は海洋研究所所長として、これまでに調査してきた駿河トラフの地形などの研究成果をデータベース化し、生態系や物質循環などに関するモデルも構築していきたいと考えています。2017年度に東海大が包括協定を結んだJAMSTECとの共同研究についても、『駿河湾掘削プロジェクト』を立ち上げ、世界中の研究者や学生諸君、地域住民を巻き込んで推進していきたい。こうした取り組みにおいて、外部機関との架け橋となることが私の役割の一つだと思っています」と意気込みを語っています。

また、研究・教育活動について、「地球温暖化による気候変動など、人の営みは自然環境の変化につながっていますが、深海への影響はあまり明らかになっていないため、駿河湾をフィールドに調査・研究に取り組みたいと考えています。人の営みと地球環境のつながりは、理工学的な視点だけではなく、経済や文明など多様な視点から研究しなければ明らかにすることができません。22年度には大学の改組改編で、清水キャンパスには人文学部が新設されます。歴史、文明、生物、工学など、多様な分野の専門家と一緒に研究できる環境は、かけがえのないメリットだと感じています」とコメント。また、「産業革命以降は森林破壊、環境汚染が進み、人の営みが地質学的な変化をもたらす『人新世』という地質時代区分が提唱されており、人間と地球の関係は大きな変換期を迎えています。授業の教材として使えるよう関連書籍の制作も進めているので、今地球に何が起きているのか、今後どうなっていくのかを多様な視点で考える学生を育てたい」と話しています。