椛田教授と永井准教授の研究室が「スイゼンジノリ」に老化予防の効果があることを発見しました

2016年02月24日

農学部応用動物科学科の椛田聖孝教授と同バイオサイエンス学科の永井竜児准教授がこのほど、日本固有の淡水性ラン藻類で、熊本市や福岡県朝倉市などで養殖されている「スイゼンジノリ」に、加齢などを通じて体内に蓄積してさまざまな疾患の原因となる「AGEs(糖化物質)」を減らす作用があることを発見。2月18日に阿蘇キャンパスで実施した椛田教授の研究室による卒業論文発表会で、この研究に携わった松田志織さん(4年次生)が研究の背景や実験の内容、その成果について発表しました。

スイゼンジノリは江戸時代から続く高級食材で、史上最大の分子で保水性の高い物質「サクラン」が多く含まれ化粧品などに活用されているほか、30年以上にわたって研究に取り組んできた椛田教授らによって高い抗酸化作用と腸内環境の改善などに効果があることも確認されています。一方のAGEsはグルコースなどの糖をエネルギーに変える際にうまく代謝できずタンパク質と結合してできる糖化物質。加齢によって体内に蓄積しますが、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症によってさらに蓄積が増加します。今回の共同研究は椛田教授が、AGEsの減少による老化防止を研究する永井准教授に分析を持ちかけたことで始まりました。

1年前から取り組んできた実験では、人工的に糖尿病を発症させたマウスを2つのグループに分け、1グループにのみスイゼンジノリの粉末を1%配合した飼料を与え、3カ月後に解剖を実施。糖尿病にかかっていないマウスも合わせて、それぞれの眼球の水晶体から5種類のAGEs含有を計測しました。その結果、スイゼンジノリを食べたマウスが、AGEsの影響による水晶体の白濁が少ないことが分かりました。永井准教授は、「白内障や骨折などAGEsが原因とされる疾患は幅広く、若い人でも生活習慣病の増加で糖尿病合併症のリスクが高まっています。今回、スイゼンジノリを食べたマウスが、白内障の原因である水晶体の白濁が抑えられているとはっきりと実験で確認できたのは大きな成果といえます」と話します。

椛田教授は、「これまでの研究で得てきたデータに加え、松田さんと一緒に実験を行った大学院生の須川日加里さんらの頑張りがあり、期待していた以上のデータが得られました。今後はAGEs減少のメカニズム解明など課題もありますが、サクランや抗炎症作用を持つゼアキサンチンなどスイゼンジノリが含有する成分について一つひとつ実験によって明らかにしていきたい。スイゼンジノリの養殖は容易ではありませんが、老化防止作用の研究が進むことで、健康食品としての付加価値や医薬品など一般の方たちにも利用が促進し、栽培拡大や保全にもつながるのではないかと期待しています」と語っています。

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