材料科学科の高尻教授と学生が執筆した論文が科学ジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました

工学部材料科学科の高尻雅之教授と今年3月に大学院工学研究科応用理化学専攻を卒業した細川祐一さんが執筆した論文「Growth of single-crystalline Bi2Te3 hexagonal nanoplates with and without single nanopores during temperature-controlled solvothermal synthesis」が7月25日に、科学ジャーナル『Scientific Reports』の電子版に掲載されました。

高尻教授の研究室では、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる新材料「熱電素子」の研究に取り組んでいます。なかでもビスマステルルという合金を使って、微弱電力を発生させる素子の開発を進めており、これまでの研究では200℃で原材料を合成すると厚さ50 nm程度の正六角形のナノプレートを作ることに成功していました。今回の研究では、合成温度を従来よりも低い温度(190℃)にすることですべてのナノプレートの中央に約20 nmの孔が開くことを発見し、その成果をメカニズムに関する仮説と併せて論文にまとめました。

高尻教授は、「ナノプレートの中央に孔をあけられたことで、熱電素子としての効率を飛躍的に高められる可能性が出てきました。研究室では、地面と気温の温度差で電気を起こし、災害時に電源がなくなった場合でも活躍できる自律型のセンサなどに応用できる熱電素子の開発を目指しており、今回の成果はその実現に向けた新たな一歩になると期待しています。今後もさらに研究を進め、多くの人にとって使い勝手のよい材料になるよう性能を向上させたい」と話しています。

【論文URL】https://doi.org/10.1038/s41598-019-47356-5

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