「第4回海洋タウンミーティングin石垣島」を開催しました

海洋学部では2月28日に沖縄県・石垣市民会館で、「第4回 海洋タウンミーティングin石垣島 海がはぐくむ観光資源」を開催しました。このイベントは、本学部の研究者と大学共同利用機関法人総合地球環境学研究所が中心となって活動している「エリアケイパビリティプロジェクト」チームと共催したもので、これまでも石垣島での研究・教育活動や、地域との連携・交流を深める活動を展開してきました。今回は、石垣島の自然や文化を大切にしながら、観光資源と地域振興をいかに結びつけるかをテーマに、地域の研究者や団体の責任者、ダイビングスクールの代表者、教育委員会の職員、漁業関係者、地元の高校生ら約40名と幅広く意見を交換しました。

第1部の講演会では、東海大学の海洋調査研修船で事務長などを務めた金野喜文氏が、学生たちが参加した研修航海などを例に船旅の魅力と可能性を紹介。続いて海洋文明学科の斉藤雅樹教授が、海水浴と温泉の比較から「海の観光資源の活用」と題して報告しました。斉藤教授は日本で近年、海水浴客が減少しているデータをその要因(不潔・危険など)とともに提示し、古く日本や欧州にあった潮湯治(温泉と似た概念)を見直して、安全・清潔・快適・便利な海水浴の開発を提案しました。次に、同学科の木村淳講師が「石垣島屋良部沖海底遺跡とミュージアム構想」と題して、沈没船やその積荷といった海底遺跡の概念を説明し、世界各地でその保護と観光資源としての活用が進む実例を紹介。屋良部沖で見つかった海底遺跡の調査状況を報告し、「発見された壷や錨を陸に引き上げるのではなく、海中に保存したままで博物館のように活用できないか」と提案しました。

第1部の後半には、地元・沖縄県立八重山高校の生物部と物理部の学生たちが3件の研究成果を報告。干潟とマングローブ林を含む地域・名蔵アンパルをフィールドとした「アンパルD地点を利用する魚類の季節変化」、「アンパルにおけるノコギリガザミの季節変化と完全養殖の提案」や、「エネルギー密度を大きくする蓄電条件とは」と題された各研究が、その緻密な調査と考察、具体的な提案内容で会場からの注目を集めました。

第2部のパネルディスカッションでは、海洋文明学科の山田吉彦教授がファシリテーターを務め、サンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」の上村真仁センター長、大阪府教育委員会文化財保護課の中西裕見子氏、ダイビングサービス&スクール「センスオブワンダー」の冨樫研一オーナー、八重山青年会議所の根間斎理事長、航海工学科の坂上憲光准教授がパネリストとして意見を交わしました。上村センター長は、暮らしと調和した、一過性ではない環境保護の必要性を訴え、中西氏は、英国など海外の海洋遺跡の保護・活動状況を詳しく紹介。富樫氏は、考古学の専門家や漁業関係者などと連携した遺跡の保護・活用体制の必要性を説き、坂上准教授は水中ロボットを用いた遺跡調査の可能性を示唆しました。

山田教授は、「環境保護はもちろん、遺跡の保護調査や水中ロボットの活用から、観光資源としての活用まで、すべてに関連性がある」と述べ、「自治体や漁業組合、教育委員会、ダイビングショップといった観光事業にかかわる各協会が、協力し合える体制づくりが重要です」と総括しました。

海洋hp報「石垣島タウンミーティング」 (1).jpg

海洋hp報「石垣島タウンミーティング」 (2).jpg

海洋hp報「石垣島タウンミーティング」 (3).jpg

海洋hp報「石垣島タウンミーティング」 (4).jpg