海洋学部生が星図に描かれた魚の種の解明に挑戦した成果が月刊天文雑誌『星ナビ』に掲載されました

海洋学部海洋生物学科4年次生の小島敦さんが、星図に描かれている「うお座」「みなみのうお座」の絵に使われている魚の種の解明に挑戦。その成果をまとめた記事が、10月3日付で発行された月刊『星ナビ』11月号(アストロアーツ)に掲載されました。清水キャンパスの一般サークル「天文研究会」に所属する小島さんは昨年8月、12星座の一つである「かに座」の種を解明する研究論文を日本天文教育普及研究会年会で発表。一般向けにまとめ直した記事が今年4月に同誌5月号に掲載されています。

今回の投稿では、12星座の「うお座」として星図に描かれている魚が、うお座の近くに位置する「みなみのうお座」として描かれる魚の子孫であるというギリシア神話を検証。「子孫であるからには同じ種の魚である」と生物学の観点から仮説を立て、背びれの数や目の位置など多角的に考察しています。イギリスやドイツなど各国の星図を調査する中で、「うお座」がタカノハダイ、「みなみのうお座」がウツボなど、同種で描かれていない星図もあることを紹介。一方で、18世紀に出版された『Eratostheneis Catasterismi』に掲載されている天球図では2つの星図がどちらもゲンゴロウブナかギンブナに近い種であり、神話の説を立証しました。小島さんは、「今回はギリシア神話を絡めたテーマだったので、ギリシア語で書かれた天文学の文献や、星図が描かれた時代に制作された博物誌の魚の絵などを参考にしました。海洋生物に詳しくない人にも読んでもらえるよう、マニアックになりすぎず、伝わりやすい言葉を選ぶのは難しかったけれど、後輩に手伝ってもらい書き上げることができました」と振り返ります。また、「将来は天文台や博物館で働けるよう勉強しており、現在は学芸員の資格取得見込みの段階。海洋生物と天文をかけ合わせた話ができる人は多くないと思うので、大学で研究してきたことや『星ナビ』で記事を書かせてもらった経験を生かし、天文の面白さを伝える仕事を目指したい」と目標を語りました。