医学部の住吉秀明講師が中国・四川省で開かれた日本新技術展で「クラゲコラーゲンを用いた人工真皮」に関する研究成果を発表しました

医学部医学科の住吉秀明講師(基盤診療学系先端医療科学・マトリックス医学生物学センター)が5月26日、中国・四川省成都市で開催された「日中大学フェア&フォーラム in CHINA 2019」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、中国科学技術部)の一環で行われた「日本新技術展」に出展。「クラゲコラーゲンを用いた皮膚再生を促進する人工真皮」に関する研究成果を発表しました。この催しは、日中の大学間交流の推進を目的として毎年開かれているもので、住吉講師はJSTからの要請を受けて参加しました。技術展では約40の大学などが、医療、ナノテクノロジー、超スマート社会といった多岐にわたる最先端技術を紹介しました。

皮膚をつくる細胞には、いわゆる「肌」を形成する表面の表皮細胞と、深部でコラーゲンをつくり、ハリをもたらす線維芽細胞があります。Ⅱ度熱傷以上の火傷などにより広範囲で皮膚を失った場合には、ウシやブタのコラーゲン成分で作られた人工真皮(人工皮膚)を欠損部に貼付する方法が一般的ですが、人工真皮上では表皮細胞の進展と上皮形成がほとんど起こらないため、後に表皮自家移植を必要とし、患者の負担が大きいという問題がありました。住吉講師らは、ブタコラーゲンにミズクラゲコラーゲンを配合した人工真皮が、表皮細胞と線維芽細胞を同時に活性化し、特に上皮、角質層の再生(再上皮化)を著しく促進することを発見。ブタとミズクラゲのコラーゲンの最適な配合比率を研究し、フィルム形状で表皮細胞の伸長を促し、スポンジ形状で肉芽細胞の侵入を促進させる、理想的な人工真皮を開発しました。この成果は、今回の展示でも大きな注目を集めました。

住吉講師は、「多くの企業の研究者らと共同研究や実用化に向けた意見交換を行うことができ、研究の進展に手応えを感じています。また、東海大学の医療分野への留学に関する問い合わせもあり、大学のPRにもなりました」と振り返ります。「欠損皮膚の再生医療は、褥瘡や糖尿病性皮膚潰瘍の治療など、必要性が高まることが予想されます。また、この技術は医療分野以外への応用も期待されており、総合研究機構『プロジェクト研究』の採択を受けて、本学工学部の研究者らとの共同研究も進めています。実用化に向けてさらに研究を加速させたい」と意欲を見せています。

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