医学部の長谷部光泉教授らによる血管内ステントシステムに関する研究が、実用化に向けて加速しています

2020年04月24日

医学部医学科の長谷部光泉教授(専門診療学系画像診断学/付属八王子病院血管内治療センター長・画像診断科医長)が研究開発代表者を務める「膝窩動脈以下(below-the-knee:BTK)の細径動脈硬化性病変に対する長期開存ステントシステムの開発」が、実用化に向けて加速しています。本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「平成30年度 医療分野研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム 機器開発タイプ)」(期間:3年8カ月以内)の採択を受け、山科精器株式会社と慶應義塾大学の研究者らと取り組んでいる医工産学連携プロジェクトです。2019年度末にはその成果や進捗速度が評価され、研究費の増額が決定し、AMEDより支給されました。

血管が狭くなり血液の流れが悪くなる動脈硬化性病変の治療として、ステント(血管を内側から広げる金属製の網目状の筒)の留置による血流再開術が行われています。しかし、膝窩動脈(膝の部分にある動脈)より下部の動脈は直径が5㎜以下と細く、変形や屈曲が強いことから血液の流れが遅いため、留置したステントの周囲に血栓ができたり血管平滑筋細胞の過増殖がおこったりするなど、再狭窄しやすいといった問題がありました。

これらの問題を解決するため、長谷部教授らは、ステントの材質や網目の形状、血液が付着しにくいコーティングの材料や塗布技術といった基礎研究からスタート。柔軟性や耐久性があり、血栓ができにくく、十分な血流を確保しながら長期間の留置が可能なステントの開発に取り組んできました。すでに、形状記憶合金であるニッケルチタン製のステントデザインやダイヤモンド系素材のコーティング技術、ステントを素早く安全に留置位置まで運ぶデリバリーシステムを確立し、動物実験にも成功。2018年度にAMEDに採択された研究が当初の計画よりも前倒しで進んでいることから、研究費の追加支給が認められました。

長谷部教授は慶應義塾大学での研修医を経てアメリカ・ハーバード大学医学部で血管内治療の研鑽を積む中、体になじみやすいステントを素材から研究する必要があることを痛感。慶應義塾大学大学院医学研究科で医学博士を取得後、同理工学研究科で工学博士を取得し、医・工の研究者らと連携しながら研究を続けてきました。「下肢の動脈硬化症は、重症化すると切断を余儀なくされてしまいます。細い血管にも対応可能で血栓などができにくいステントの開発は、再狭窄を抑制して患者さんのQOLを向上させるだけでなく、医療費の抑制にもつながります。早期実用化に向けて、さらに研究を加速させたい」と意欲を見せています。

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