湘南校舎で活動する水泳部出身の茨隆太郎選手(大学院体育学研究科2017年度修了・SMBC日興証券)が、5月1日から15日までブラジル・カシアスドスルで開催された第24回夏季デフリンピック競技大会の競泳で金メダル4個、銀メダル3個を獲得しました。デフリンピックは4年に1度、世界規模で行われる聴覚障がい者の総合スポーツ競技大会で、茨選手は高校生の時から数えて4大会連続で日本代表に選出され、いずれもメダルを獲得してきました。今大会では、これまでの実績から日本選手団の主将に任命され、自身最多の7つのメダルに輝きました。
デフリンピック各競技を通じて日本代表最多となる10個のメダル獲得を目指して12種目にエントリーした茨選手は、5月2日の水泳初日、50mバタフライ(男子・以下同)で自己ベストを更新して銀メダルを獲得。4×100mリレーでも銀メダルを手にし、「初日にいかに結果を残せるかが大切だと考えていたので、納得のいくレースができてプレッシャーや緊張から解放されました」と振り返ります。3日目には400m個人メドレーで金メダル、4×100mメドレーリレーで銀メダル、4日目以降は100mバタフライ、200m個人メドレー、200m自由形と連日金メダルを獲得。「前半から攻める泳ぎが得意で、大会に向けてもそういった練習を積んできました。しかし、現地に入ってから新型コロナウイルス感染症対策として試合以外はホテルから外出できないなど制限された環境下で確実に金メダルを取るためには、前半は抑えて後半に追い上げる泳ぎを徹底したほうがよいと判断しました。得意とする200m、400mの個人メドレーも自己ベストには届きませんでしたが、目標としていた金メダルを獲得できてうれしい」と話しました。
しかし、4種目を残していた5月8日に、水泳の日本選手団に新型コロナの陽性者が確認されその後の種目を辞退。11日には複数競技で陽性者が確認され、帯同するメディカルチームなどによる審議の結果、感染源は各競技会場にある可能性が高いとの判断から全選手が同日以降の試合を辞退することとなりました。茨選手は、「その時点で選手団として過去最多の30個のメダルを獲得しており、今後の競技も楽しみにしていただけに、競技途中や出場できずに終えた選手を思うと非常に複雑な気持ちです。次回大会は東京も開催候補地に挙がっています。未来の子どもたちが同じ思いをすることがないよう、今大会で見つかった課題を今一度洗い直し、自分にできることを考えたい」と話しています。
なお、今大会ではバドミントンの太田歩選手(体育学部2013年度卒)が団体戦で日本初の銀メダルに貢献。男子ダブルスは準決勝で辞退したため4位となりました。また、中田美緒選手(体育学部4年次生)が出場した女子バレーボールは同じく準決勝で辞退し4位、陸上競技の山中孝一郎選手(工学部2003年度卒)は男子1万mで10位、男子マラソンは辞退となりました。