医学部と健康学部では5月10日に伊勢原キャンパスで、「2025年度多職種連携チーム医療演習」を実施しました。この演習は、医師、看護師、ソーシャルワーカーを目指す学生が各職種の役割を理解するとともに、職種の特性を生かしたチーム医療を実現するための知識や技能、態度の修得を目指すものです。今回は、医学部医学科5年次生と看護学科4年次生、健康学部健康マネジメント学科3、4年次生が参加しました。

学生たちは30チームに分かれ、教員をファシリテーターとして、あらかじめ指定された患者の事例について討論。患者の病態や既往、本人や家族の意思、生活環境、経済状況といった多様な要素を踏まえて治療やケアの方法、社会復帰への道筋を検討し、最後に結果を発表して質疑応答を交わしました。医学科の学生は、「多様な視点に気付き、患者さんを全人的に診る意義を実践的に学べました。知識と技術の修得はもちろん、コミュニケーション力も必要だとあらためて認識しました」と語り、看護学科の学生は、「医療を受ける側と提供する側のパイプ役として、患者さんや家族の真の思いを汲み取って医療チームに正しく伝える力を磨いていきたい」とコメント。健康マネジメント学科の学生は、「多職種連携による医療の醍醐味を体感できました。患者さんの不安を取り除き、適切な自立支援策を提案できるよう、さらに学びを深めます」と意欲を見せていました。

ファシリテーターを務めた教員は学生に向けて、「各専門職の業務について積極的に質問し、それぞれの考えを理解しようとする姿が印象的でした。自分に何が求められているか、何をすべきかがより明確になったと思います」「知識不足を感じることも大切な気付きです。今回の症例検討を演習で終わらせず、不足している知識を補い、よりよい治療法や支援法について考え続けてください」と期待を語りました。
運営責任者を務めた伊勢原教育計画センターの濵田昌史センター長(医学科教授)は、「医学は、法学、神学とともに、“人”を対象とする学問として中世ヨーロッパの大学の専門分野に位置づけられました。3つの学問に共通する目的は人々の苦悩や困難の解決、支援であり、その本質は、社会や医療技術がどれだけ進展しても変わりません。真に求められる医療を提供するためには、患者さんや各専門職が“人”として信頼関係を築くことが何よりも重要であり、本演習の重要性はますます高まっていると考えます。プロフェッショナルとして患者さんが抱える問題に真摯に向き合い、多様な意見に謙虚に耳を傾ける姿勢を忘れず、より質の高い医療の実現を目指してほしい」と話しています。


