生物学部海洋生物科学科の北夕紀教授が参画する研究グループが発表した論文がこのほど、国際学術誌『Molecular Ecology Resources』から引用件数上位として表彰を受けました。同誌に2023年に投稿された論文のうち24年に引用された件数が上位1割に入った研究者が表彰されるものです。北教授らは23年12月に、イルカの糞の中に含まれるDNA情報を用いて年齢を推定する手法を開発した成果について発表していました※。

研究では、寿命を超える長い期間での観察研究や、動物の捕獲を必要とする方法が一般的であるイルカをはじめとする野生動物の年齢推定について、糞といった非侵襲的な試料由来のDNAに対して、初めてDNAのメチル化率を調査するエピジェネティッククロック解析と呼ばれる手法に成功しました。論文はその成果をまとめたものです。北教授は、「海洋生物に限らず長寿の野生動物の年齢推定はきわめて難しいため、最も非侵襲的である糞を用いた年齢推定方法の確立は画期的な成果であり、論文の引用はイルカに限らず幅広い生物の調査、研究に活用されていると考えられます。研究室では、御蔵島周辺に生息する野生のミナミハンドウイルカの研究を論文発表後も継続しており、他にもクジラやシャチが吹き出すいわゆる『噴気』からDNAを採取する方法の確立も順調に進んでいます。今後も他大学や水族館などとの共同研究を進めていきます」と話しています。
※論文の詳細などはこちら(https://www.u-tokai.ac.jp/news-campus/793701/)をご参照ください