
総合農学研究所では11月25日に阿蘇くまもと臨空キャンパスで、「第5回ランチョンセミナー」を開催しました。教員の研究内容や最新の研究話題を共有しようと月に1回程度開いているものです。今回は文理融合学部経営学科の西村知教授が「東南アジア・南太平洋・鹿児島離島の集落と地域経済の魅力」をテーマに講演。学生や教職員約20名が参加しました。
西村教授は開発経済学と農業経済学が専門で、「九州大学経済学部の学生だったときにフィリピンを訪れた際に、発展途上国の貧困のメカニズムについて研究したいという思いが強くなり、研究者の道を志しました」と振り返ります。フィリピンやフィジー、奄美群島を中心とした鹿児島の離島を研究フィールドとし、フィリピン大学や南太平洋大学、市町村役場と連携し、家族構成や収入、支出について詳しく聞き取り調査をし、構造分析を用いて各世帯の収入支出の関係性を明らかにしています。西村教授は「グローバル化がこれらの研究フィールドに大きな影響を与えています」と指摘。雇用創出や技術革新といったメリットがある一方、資本の動きによって雇用が失われるリスクもあるため、地域の相互扶助的なセーフティネットの重要性と、自給的経済が緩衝材となる仕組みを強調しました。また、伝統的な経済と近代的な経済の共存という新しい二重経済モデルの可能性についても言及。「地域経済の魅力は人々のつながりと柔軟性です。激動するグローバル化社会において、居住空間の環境を大切にする持続的な生活が重要です」と結論づけました。質疑応答では、健康と経済の関係や鹿児島の特産品の流通、衰退地域の共通点などについて活発な議論が行われました。

