海洋科学博物館で静岡キャンパスの学生を対象に「水族館講座」を開きました

海洋科学博物館で昨年12月21日から2月8日まで、4回にわたって静岡キャンパスの学生を対象に「水族館講座」を実施しました。本博物館は2024年10月末日をもって一般公開を終了し、教育・研究に特化した海洋生物に関する新たな活動を続けています。今回の講座は、学生に向けたキャリア教育の一環として、水族館の現状や就職に役立つ情報、学芸員の経験、実際の水族館の現場について伝え、これからの時代の中で変わっていく水族館について考える機会を提供することを目的に初めて企画したものです。各日、学芸員を目指す学生ら約70名が受講しました。

毎回2講座ずつのプログラムで、「水族館の役割」や「飼育」、「展示」「繁殖」「教育活動」、「保存」など多岐にわたるテーマを設定。12月21日の初回では、村山司館長による講座趣旨と受講学生への激励があり、引き続き本博物館に勤務する技術職員(学芸員)が交代で講師を務め、それぞれの専門分野を中心に詳しく解説しました。最終日の2月8日は、まず「採集」のテーマで講義。山田一幸技術職員が、水族館で飼育する魚類の採集方法について、網や釣り、潜水などさまざまな漁法、漁具とそれぞれの対象生物を説明しました。また、日本動物園水族館協会が定める「動物福祉規程」や法令の遵守、行政への特別採捕許可の申請といった実務、実際の採集の様子を紹介し、「水族館による自家採集だけでは展示生物の充実は難しく、漁業者の方の協力が欠かせません。漁師さんとの常日頃のコミュニケーションが重要です」とまとめました。

後半は、「求められる人材」について野口文隆技術職員(学芸員)が講義。自らが学芸員の道を歩むきっかけから、水族館の業務とその構造、職員に求められる役割や資格について語り、「水族館業務のいちばんの特徴は“生き物を扱い、飼育する”点にあり、さまざまな専門的知識も必要になります。水族館の技術職員になるために特別な資格はありませんが、しいて言えば学芸員資格を取得しておけば就職時のアドバンテージになります。業務内容的に体を使うことも多いので、体力はあったほうがよく、さらにコミュニケーション能力は必要不可欠です」と説明しました。続いて全国の水族館で働く技術職員と求人数の関係や、技術職員が必要とする人材と必要としない人材についてのアンケート結果を紹介し、「求められるのは何事にも前向きで、向上心やチャレンジ精神のある人。海や生き物、自然が好きで、生物を飼育する責任感や周囲への思いやりを持ち、自ら考えて行動する力が必要です。水族館の仕事は面白く、飽きの来ないものですが、厳しいことも多くあります。自らの志望動機をよく考え、あきらめることなく頑張ってください」と呼びかけました。

受講した学生からは、「水族館の学芸員を目指しているので、大学の講義に加えてこのような勉強の機会があってうれしい」「繁殖や研究活動について詳しく知ることができました。今後の就職活動の参考にします」といった声が聞かれました。