熊本キャンパスの文理融合学部経営学科の中原康征准教授と本学部の学生らによる「クラフトビール商品開発プロジェクト」がこのほど、試作品を完成させました。「東海大学九州教育活性化プロジェクト」に採択された取り組みの一つとして、本学部と農学部、企業などとの連携を通じて、原材料の栽培から製造、販売までの一連の流れを体験的に学び、全体を俯瞰しながら専門性を発揮できる人材の育成を目的とした実践型教育プログラムです。

プロジェクトでは、九州キャンパスに農学部があるという特色を生かし、酵母研究を専門とする多賀直彦講師との連携を契機に2023年度からスタート。農学分野に加え、人間情報工学科による発酵過程の温度管理へのセンサー技術の活用やデータベースの構築など、文理融合の教育・研究環境を最大限に活用してきました。さらに、プロジェクト参加学生が主体となり、醸造所との連携・商品企画やラベルデザイン、調査分析といった役割ごとにチームを編成。製品開発においては、学生たちがアイデアを出し合い、熊本県の特産品であるニンジンや柑橘類の不知火を活用したクラフトビールを発案し、東京都の國澤麦酒に製造を依頼して試作品が完成。今年度からは、学内で教職員約200名を対象に試飲とアンケート調査を実施しており、得られた回答から味やコンセプトの改良を進めていきます。中原准教授は、「味の評価を言語化する『官能評価』が大きな課題ですが、学生たちは専門用語や評価手法を学びながら、客観的かつ共有可能な表現で品質を分析する力を養っています。単なる製品開発にとどまらず、課題発見力や分析力の育成にもつなげています」と話します。プロジェクトでは発足当初から試験醸造免許の取得に向けた手続きを進めており、企業との連携による販売体制の構築や、発泡酒を含めた製造免許の取得も視野に入れています。また、23年12月には熊本、阿蘇くまもと臨空両キャンパス内に「ビアラボ」と名付けたプロジェクト専用の部屋、今年5月からは熊本キャンパスにホップ畑を整備しており、将来的な栽培も目標に掲げています。


今年度からプロジェクトに参加する経営学科の笹栗康文さん(3年次生)は、「学科の先輩方から話を聞いて興味を持っていました。お酒を飲むと顔が赤くなってしまいやすいので、この活動を通じて赤くなりにくいビールを作ってみたい」と話します。古賀嵩浩さん(同)は、「学科の新入生研修で熊本県内にある大手ビールメーカーの工場を見学して関心が高まりました。醸造にチャレンジしてみたい」と意欲を見せています。プロジェクトでは今後、各キャンパスの特色を生かしたビール開発や、地域農産物のさらなる活用などに取り組んでいきます。学生たちからは、「東海大には九州以外にも札幌や湘南など全部で7キャンパスもあるので、地域ごとの特色に合ったクラフトビールを開発したい」「東海大学オリジナルの詰め合わせ商品として展開できれば」といった提案も挙がっています。