知のコスモス講演会「アイスランドの歴史と文化」を開催しました

文学部北欧学科では、4月21日に湘南キャンパスで第299回東海大学文学部知のコスモス講演会「アイスランドの歴史と文化」を開催しました。世界的に有名なアイスランド人学者、ウルヴァル・ブラーガソン博士を講師に迎え、学生や教職員、学外の方ら約160名が聴講しました。

はじめに、講演会の企画責任者である本学科の森信嘉教授が、パワーポイントの資料を使ってアイスランド史の流れを紹介しました。続いて登壇したウルヴァル博士は、「最初のアイスランド人とされるインゴルヴル・アルトナルソンが定住した874年からアイスランドの歴史が始まり、930年には議会政治の草分けともいえる全島会議が開かれました。レイヴル・エイリクソンがアメリカに到達した西暦1000年ごろにはキリスト教とともにラテン文字が伝わり、エッダやサガに代表される数多くの文学資産が記録されるようになりました」とより詳しい歴史を説明。さらに西暦2000年には首都レイキャビクが「欧州文化都市」の一つに数えられるまでになり、1993年には「欧州経済領域(EEA)」の一員となったことなども紹介しました。

ウルヴァル博士は、「近年、アイスランドの社会には地方部と都市部、富める者と貧しい者、古い文化や伝統と現代的事象などの間に分離が見られます。文化は人々を映し出す鏡であり、文化の基盤は言語です。つまり、アイスランド語こそがアイスランド文化の基盤となっています」と語りました。アイスランドの総人口は2015年現在で32万9100人に上りますが、その大多数が首都近郊に住んでいます。アイスランドは移民を積極的に受け入れており、現在ではおよそ130カ国から2万6000人程の人々が居住しています。「新たに“アイスランド人”となる人々にとってアイスランド語の習得は必要不可欠です。現在の課題はアイスランド語教育のための教員育成と教材開発です」とウルヴァル博士。最後に、世界最初の女性大統領として4期16年お務めになり、2002年には湘南キャンパスで「アイスランドの人々と社会」と題した講演をしてくださったヴィグディス・フィンボガドッティル氏を紹介し、「彼女の名を冠したヴィグディス・フィンボガドッティル外国語研究所が言語研究を推進しています」と話しました。講演後には活発な質疑応答も行われ、関心の高さが伺えました。

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