国際シンポジウム「ガンジスカワイルカ」を開催しました

東海大学創造科学技術研究機構では、2月26日に静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」で国際シンポジウム「ガンジスカワイルカ」を開催しました。本機構の森阪匡通講師は、過去3年間にわたってT.M.バーガルプル大学植物学部のスニル・チョーダリ教授らと協力し、世界唯一のガンジスカワイルカの保護区であるインド北東部にあるヴィクラマシーラガンジスカワイルカ保護区で共同研究を行っています。今回の国際シンポジウムは、これまでの研究成果を発信することを目的に実施したもので、国内外から研究者や学生ら約60名が参加しました。

開催にあたっては、海洋学部の千賀康弘学部長と本機構の山口滋教授があいさつ。その後、インドと日本双方の研究者が講演しました。その中で、チョーダリ教授とナチケット・ケルカー氏(アショカ生態学環境研究基金ATREE)が、人間の生活圏内に生息しているガンジスカワイルカのおかれている現状や保護区設立の経緯、イルカの生息数と現在進めている調査活動の全体像を説明。森阪講師が、イルカの発する音を採取することで、にごった水の中で実際の頭数や生息する水深、エサを捕る場所などを高い精度で調べる研究の概要を報告しました。

そのほかにも、鯨類学の第一人者として知られている粕谷俊雄氏(元帝京科学大学教授)が、1960年代に世界に先駆けて日本の研究者らによって行われていたガンジスカワイルカの研究について講演。田中嘉寛氏(沼田町化石館学芸員)がガンジスカワイルカの進化の過程を、山本友紀子氏(京都大学野生動物研究センター・水産総合研究センター水産工学研究所)が他の地域をフィールドに音響的手法を使ってガンジスカワイルカの行動を研究した成果をそれぞれ紹介しました。また会場では、海洋学部や工学部4年生4名を含む16名の研究者らによる海棲哺乳類に関する研究のポスターセッションも実施。参加者同士が英語で活発に意見を交換していました。

森阪講師は、「ガンジスカワイルカと同様に、人間の生活圏の近くに生息していたヨウスコウカワイルカは漁労活動やダム建設の影響ですでに絶滅してしまったといわれています。ガンジスカワイルカも絶滅危惧種に指定されていますが、まだまだ情報不足の面もあります。インドも今後ますます発展をとげていくでしょうから、ガンジスカワイルカをどのように保護していくのかについては、その技術も含めて我々日本の研究者もかかわっていかなければならないテーマだと考えています。今後もインドの研究者らと協力しつつ、若い研究者や学生たちと一緒に国際的に連携した活動を展開していきたい」と話しています。

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