公開講座「北海道におけるバスケットボールジュニア世代の育成について」を開催しました

札幌キャンパスで7月16日から18日まで、隣接する付属札幌高校との高大連携で東海大学公開講座 SPORTS EVENT「北海道におけるバスケットボールジュニア世代の育成について」を開催しました。「ジュニア世代の能力を上げるために、指導者にはどのようなアプローチが求められるのか?」といった指導者の疑問を解決するために、アテネオリンピック女子バスケットボール日本代表の矢代直美氏と、湘南校舎の男子バスケットボール部監督を務める陸川章教授(スポーツプロモーションセンター)による講演会と実技指導クリニックを実施。小、中、高校の指導者や保護者、バスケ部に所属する中高生ら、3日間で延べ約360名が参加しました。

初日の講演会では矢代氏が「バスケットボールから学んだこと、得たもの」をテーマに語り、日本航空 JALラビッツに所属していた当時、林永甫ヘッドコーチのもとで「バスケの原理原則をあらためて学ぶとともに、自分で判断する面白さに気づかされました」と振り返りました。現在はクリニックなどで短期的に選手の指導に当たっている経験から、「指導者は“パスは右ではなく左だったのでは?”“なんでシュートを打たないんだ”とつい怒ってしまいがちですが、なぜそのプレーを選択したのか選手の声を聞いてあげることが大切」とアドバイスしました。続いて登壇した陸川教授は、「チームビルディングにおける指導者の役割」と題して講演しました。男子バスケ部を6度の大学日本一を誇る強豪に育て上げた陸川教授は、選手時代に所属したNKKシーホークスの藤本裕元監督やアメリカ留学時代に師事したデイブ・ヤナイコーチの教えを紹介し、「選手のいいところに目を向け、過去や未来ではなく今に打ち込むことが大切。『練習のダッシュ1本に全力で取り組む』といった微差が試合では大差を生みます。発した言葉はいつか自分に返ってきますから、きれいな言葉や楽しくなる言葉を使うように心がけています」と指導論を語り、「ユース世代には、失敗もほめてあげることが大切なのではないでしょうか」と呼びかけました。

2日目と3日目は3部構成で、道内の3つの中学校のバスケットボール部をモデルケースに実技指導クリニックを開催。札幌高男子バスケットボール部もサポートやモデル役として参加し、陸川教授と矢代氏がパスやドリブルアタッキング、スクリーンなどの基礎や、世界の主流になっている戦術の一つ「ピック&ロールオフェンス」の構築とそれに対応するディフェンスなどを指導しました。選手たちの動きに対し、陸川教授は「ナイス!」「今の動きがいいよ!」とポジティブな言葉が投げかけ、「中学生には一つひとつの意味や理由を細かく説明するよう心がけました。大学生を指導する時と根幹は変えず、指導者の皆さんには怒る必要のないことを伝えたかった」とコメント。札幌高男子バスケ部の佐々木睦己監督(同高教諭)は、「高校生は中学生の練習をサポートし、アドバイスをしたり、なぜその動きができないのかを客観的に考えたりする中で、基礎の大切さや自分に足りないことなど多くのことを学んでほしい」と話しました。参加した中学生は「一人ひとりに合わせてわかりやすく指導してもらい、これまではどのようにすればいいのかわからなかった技術も理解できました。学んだことを練習や試合に生かして、大会で優勝したい」と意気込みを語っていました。