安藤教授が協力している白血病の治療薬の治験が進んでいます

医学部医学科血液腫瘍内科・安藤潔教授の研究室が携わっている白血病の新しい治療薬の研究が、大学発の治療薬として初めて実際に患者に投与して薬の効果を確かめる治験の第Ⅱ相に進んでいます。この研究は、東北大学の宮田敏男教授(大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センター)との共同研究です。

本学部は開設当初から再生医療の研究に力を入れており、日本で4件しかない骨髄移植拠点病院に指定され、昨年6月には骨髄移植の症例が通算で1000件をこえるなど国内でも有数の研究拠点となっています。安藤教授はその一環として血液の再生に着目して研究を進めており、文部科学省の平成24年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の採択を受けた「がん幹細胞ニッチを標的とした新規治療法の開発」では研究代表者を務めています。

諸器官が再生する際には、その「種」となる幹細胞(造血幹細胞、iPS細胞など)と、幹細胞が増えるための「畑」となる「ニッチ」が必要となります。安藤教授はその「ニッチ」に着目し、東海大学先進生命科学研究所の平山令明所長や宮田教授らと共同で、「PAI-1」(Plasminogen Activator Inhibitor 1)という物質が幹細胞の働きを抑える働きを持っていることを世界で初めて明らかにし、その働きを抑える薬の開発に取り組んできました。

安藤教授は、「ニッチの働きを自由に制御できるようになれば、手術に頼らないがんの治療も可能になる。近年の研究では、がん細胞にも幹細胞が存在することが明らかになっています。したがって、薬でコントロールできるようになれば体内に幹細胞が残ってしまった場合でも再発を防げるようにもなります。今後もニッチの謎を解明し、創薬につなげることでがんを薬で治せる時代をつくりたい」と話しています。

安藤教授_525.jpg