「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成」のスタートアップシンポジウムを開催しました

東海大学では2月14日に東京・霞が関の東海大学校友会館で、「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成:主に極東地域の経済発展を目的として」事業のスタートアップシンポジウムを開催しました。本事業は、文部科学省の平成29年度「大学の世界展開力強化事業~ロシアとの大学間交流形成支援~」の採択を受け、ロシア・極東地域の大学や日本の企業と連携し、ロシアの社会問題で昨年の日露首脳会談で経済協力項目に盛り込まれた「健康寿命の伸長」と「高いQOL(Quality Of Life)を保つ健康長寿社会」の創出に取り組むことを目指すものです。シンポジウムには本事業の連携パートナーであるロシア・モスクワ大学や極東連邦大学、サハリン州立大学の関係者や企業の関係者、研究者ら約200名が参加しました。

開催にあたって山田清志学長が、本学が1960年代から取り組んできたロシアとの交流の歴史や本事業に取り組む本学の理念を説明し、「この分野を担う人材の育成を通して、極東の健康寿命を延ばし、高いQOLを保つ健康長寿社会を実現することは、ロシアに多くの友人を持つ本学が、これまでの交流の集大成として取り組むべき課題だと考えています」と語りました。その後、衣川靖子氏(元ロシアNIS経済研究所主任・ロシア語翻訳家)と極東大のキリル・ゴルフヴァスト副総長(研究担当)が講演。衣川氏はロシアにおける医療の現状と課題を、ゴルフヴァスト副総長は極東大が取り組んでいるライフケア人材育成プログラムをそれぞれ紹介しました。続いて、国際教育センターのヤロスラヴァ・グラディシェワ助教が、本事業の一環で企業を対象に行った「日露の相互発展に必要とされる人材に関するアンケート調査」の中間結果を報告。本学国際教育センターの山本佳男所長が、本事業の構想や今後のスケジュールを説明しました。

続いて行われたパネル討論「極東地域における我が国のライフケア産業の進出と人材育成への展望」では、ウラジオストクで整備が進められている北斗画像診断センターの設立に携わる社会医療法人北斗事務部の西田崇雄副部長と日揮株式会社ヘルスケア事業部の三原眞部長、ピー・ジェイ・エル株式会社の山田紀子代表取締役が各社の視点からロシアの健康産業に参入する狙いや現状、今後の展望などを解説。その後、コメンテーターとしてJETRO海外調査部の梅津哲也主幹が「東海大学が取り組んでいるこの事業が、ビジネスを含むさまざまな人材交流につながることを期待している」とコメント。また本学スポーツ医科学研究所の石井直明教授が、「健康分野の発展には若い人の力が重要。本学では今年4月に、福祉とメンタルと栄養、運動を総合的にマネジメントする健康学部を設置します。この取り組みをロシアとも連携して進めていきたい」と語りました。

参加者からは、「日本企業が極東地域で展開している健康ビジネスの現状についてコンセプトを含めて学ぶ貴重な機会だった」「極東地域で健康分野を担う人材が育てば、新たなニーズやビジネスチャンスの創出にもつながる。東海大学にはぜひこの事業を成功させてほしい」「大変興味深い情報が多く提供された素晴らしいイベントだった。極東地域では、健康診断や医療を担う人材への需要がとても高まっているが、国際連携の強化にはパートナー同士の信頼関係がとても重要になる。50年を超えるロシアとの交流実績のある東海大学の取り組みに期待している」といった声が聞かれました。

なお当日は、本事業の連携大学の一つであるサハリン州立大学と本学の連携協定調印式も行われました。

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