「彫刻を触る☆体験ツアー2018」第1回を開催しました

課程資格教育センターでは7月29日に湘南キャンパスで、高校生や地域住民らを対象とした「彫刻を触る☆体験ツアー2018」第1回を開催しました。このイベントは、学内にあるブロンズの屋外彫刻に直に触れるメンテナンスの体験を通じて新たな芸術鑑賞法を知ってもらおうと、2014年度から行っているものです。昨年度からは、本キャンパスのある秦野市や神奈川県高校生インターンシップと連携として実施しています。当日は、神奈川県内の高校生や秦野市民、学芸員の資格取得を目指す本学の学生ら20名が参加。屋外彫刻調査保存研究会の高嶋直人氏、「世界にさわる」展などをプロデュースした国立民族学博物館の広瀬浩二郎准教授のレクチャーを受けて、北村西望作「松前重義胸像」と舟越保武作「山田守像」の2体のブロンズ彫刻のメンテナンスに取り組みました。

はじめに、本センターの篠原聰准教授がイベントの趣旨を紹介。続いて、高嶋氏がメンテナンスの意義や、水洗いして汚れを落とし、ワックスを塗って磨くといった一連の工程について説明しました。その後、広瀬准教授が、「彫刻を磨き、自分を研く」をテーマに講義。「彫刻を“見て”鑑賞するという常識から自分を解き放ってください。触ることで、新しい彫刻の味わい方や楽しみ方を発見し、見るだけではわからない魅力に気づくことができるでしょう。彫刻を水洗いしながら自らの常識も洗い流し、ワックスを塗って磨きながら自分自身にも研きをかけてください」と語りました。

参加者は、高嶋氏の指導と教養学部芸術学科美術学課程の卒業生で在学時からこのイベントに参加している野城今日子さんのサポート受けながらメンテナンスに挑戦。高校生は、「『作品を守り、伝えていく』『触れることを楽しむ』といった、講義で教えていただいたことを意識してメンテナンスに臨みました。普段は横を通りすぎてしまう彫刻に初めて触れて、きれいにするという貴重な経験をさせていただき、感謝しています」「洗浄しているときは、汚れも多く、涙を流しているように見えましたが、磨き上げたあとは優しく笑っているように見えました。彫刻を磨くことで自分自身の心も磨き直されたように感じています」と話していました。また、20代の市民からは、「作品に触れ、しっかりと向き合うことで、作者が作品を制作する時間を追体験できたように思います」との感想が聞かれました。

篠原准教授は、「地域の人々が公共の場に設置された屋外彫刻を愛し、目をかけ、手をかけて守り継いでいくことの大切さを、多くの方に理解してほしいと願っています。今後も彫刻メンテナンスの体験イベントを続けたい」と話していました。なお、10月には「彫刻を触る☆体験ツアー2018」第2回として、秦野市内のブロンズ彫刻のメンテナンスを行う予定です。

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