寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

生物学部海洋生物科学科では、本学が北海道寿都町に設置している北海道臨海実験所を活用した研究報告会を2月18日に開催しました。この催しは、本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーションを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、2013年度から寿都町と留萌市にある2カ所の臨海実験所でそれぞれ行っているものです。

会場となった実験所の講義室には寿都町役場の職員、寿都漁業協同組合の職員・漁業者ほか、近隣の島牧村役場や島牧漁業協同組合、北海道庁後志振興局水産技術普及指導所の職員、水産加工会社・建設会社の社員ら計43名が参加。まず、臨海実験所所長を務める本学部の櫻井泉教授が、今年度の活動内容と来年度の活動計画を報告しました。続いて、櫻井研究室に所属する海洋生物科学科の4年次生8名が研究成果を各10分ずつ発表し、続いて10分程度の質疑を行いました。今回はさらに、話題提供として本学科の野坂裕一助教が登壇。「寿都湾の海洋環境について」と題して講演しました。

指導する櫻井教授は「今回の成果発表会では、研究テーマが多岐にわたっていたにもかかわらず、多くの出席者から各テーマの有機的なつながりを意識したご意見をいただきました。とりわけ、寿都湾では昨年から養殖ホタテガイの大量死亡が問題となっている中で、『今回行った養殖場の底質調査では貝の死亡原因となるような現象は認められなかったこと』や、『道内のホタテガイ養殖場において継続的に環境調査を行っているのは寿都湾のみであり、大量死亡のような問題が起こった時の原因究明が進められやすくなるので、今後も必要であること』、さらには『底質粒径や底生動物の群集組成は波浪などの影響を受けて若干の年変動をしており、今後も注意深く監視する必要があること』などは特筆に値するご意見でした。今回の討論を踏まえ、本実験所では、今後も地域連携による課題解決に取り組んでいきたいと考えています。また、今回参加した4年次生も討論を通じて自分たちが取り組んだ研究成果が地域の問題解決につながっていることを認識できたのではないかと思います。 今後も本学が地域産業の活性化に貢献すべく、成果報告会を続けていきたいと考えています」と話しています。

【2018年度 研究報告会 議題】
1・2018年度活動報告と2019年度活動計画について(臨海実験所長 櫻井 泉)
2・2018年度研究成果について
寿都湾におけるホタテガイ養殖場の環境評価(阿保あかり=4年次生)
寿都漁港における垂下養殖アサリの成長と成熟(森 健貴=4年次生)
アサリの成長と成熟に及ぼす地盤高の影響(青木美那海=4年次生)
根室落石漁港におけるアサリ垂下養殖の実用化の検討(井上七海=4年次生)
寿都漁港における垂下養殖コタマガイの成長(松原圭祐=4年次生)
マナマコ中間育成施設を利用した着底稚仔放流の有効性検討(岡本 優=4年次生)
マナマコ中間育成施設における餌料供給量の評価(堀田愛美=4年次生)
マナマコの呼吸量と排泄量に及ぼす水温の影響(笹原慧哉=4年次生)
3・話題提供 寿都湾の海洋環境について(海洋生物科学科助教 野坂裕一)

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