「海洋学部高大連携特別プログラム」を開催しました

静岡キャンパスでは8月9日、10日に水産・海洋系高校などに通う生徒を対象とした「2022年度東海大学海洋学部高大連携特別プログラム」を開催しました。全国の水産・海洋系高校との「教育交流協定」に基づき、生徒たちに海洋を取り巻く現状に問題意識を持ってもらおうと2006年から実施している教育プログラムで、近年は協定校以外の生徒も参加しています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で対面での開催は3年ぶりとなった今回は、北海道、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、香川県の計7校から17名の生徒が参加しました。

初めに齋藤寛学部長が「海洋学部について」と題して、キャンパスの特徴や今年度から運航を開始した通学船などを紹介。「本学部には海洋理工学科海洋理工学専攻・航海学専攻、水産学科、海洋生物学科があり、今日から2日間にわたってそれぞれの学科・専攻の先生が講義を担当します。ぜひ先生方の話を聞いて、興味を持った学びを深め、将来につなげてください」と語りかけました。続いて水産学科の清水宗茂准教授が「海の恵みを活用した新たな食の提案」について講義し、海洋理工学専攻の田中昭彦教授が「Excelで気象予測」と題して実習を行いました。

2日目は水産学科の秋山信彦教授が「海洋生物の生活様式と資源としての活用」をテーマに講義。プランクトンの定義を説明し、マダイやヒラメ、クルマエビの発達過程を解説。栽培漁業や、放流によって絶滅しかけていた魚類が安定供給されるようになった例などを紹介しました。「海運における点と線の問題」と題して講義した航海学専攻の新谷浩一教授は、身近な例として友人と車でラーメン屋まで行くと仮定し、待ち合わせ時間に遅れそうな場合と時間通りに出発した場合の時速を計算してグラフを作成。それが船の荷役時間と平均速力の関係と同様の曲線グラフになることを説明し、「遅れを取り戻そうとすると危険で非効率な運転になります。早く出発することで安全運航、燃料油費削減、環境にやさしい物流につながる」と話しました。海洋生物学科の西川淳教授は「クラゲの話」をテーマに語り、すべてのクラゲは刺胞(毒針)を持ち、ヒドロ虫綱、箱虫綱、針虫綱の3つに大きく分けられるといった体のつくりや生活史などをイラストや写真を交えて解説。生徒からは「1990年代から世界のクラゲ漁獲量が増えているのはなぜですか?」「クラゲはいつから刺胞を持っているのでしょうか」など、多くの質問が出ました。

プログラムの最後には、齋藤学部長が2日間のプログラムを終えた生徒たちに激励の言葉を送りました。参加した生徒たちからは、「サメが好きで、専門家の先生がいる海洋学部に進学したいと考えています。駿河湾をフィールドにした授業もあると聞き、よりいっそう興味が湧きました」「まだ解明されていないことの多いクラゲについての講義が印象に残りました」「幅広い専門分野の先生方がいて、海洋の勉強をするにはとてもいい環境だと感じました」「他校の生徒と一緒に勉強できたことも貴重な経験でした」といった声が聞かれました。