静岡県が実施したさくらサイエンスプログラムに協力し、特別講義を実施しました

海洋学部では12月7日に、静岡キャンパスで「令和4年外国人留学生受入強化事業(さくらサイエンスプログラム)」の一環として、インドネシア・西ジャワ州の高校生に向けた特別講義を実施しました。同プログラムは、日本とアジアの人材交流促進などを目指して科学技術振興機構が展開しているもので、今回は静岡県が同州の高校生を招待。プログラムを通じて県の特徴の一つである「健康長寿」をはじめ、健康・医療分野や最新の研究、技術に関する理解を深めてもらうことで県内の高等教育機関の魅力を伝え、留学意識の喚起を図ろうと県内の各大学に協力依頼があったものです。当日は、8名の高校生と引率者1名、公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソージアムのラクスミ・デワヤニ氏が通訳として来訪しました。

まず、水産学科の後藤慶一教授が「HACCPを学ぼう」と題して講義。HACCPの意味や制度が生まれた経緯について、「HACCP は、Hazard(危害)、 Analysis(分析)、 Critical(重要)、 Control(管理)、 Point(点)の頭文字をとった言葉です。1960年代に開始されたアメリカの宇宙開発計画で、宇宙食開発時に高度な安全性を保障するために発案された衛生管理システムで、食品業界から評価されて世界に広がり、今では衛生管理の国際的な手法となっています」と解説しました。また、自身が海外で食中毒になった経験を話すとともに、HACCP制度と従来の検査・食品管理方法の違いを説明しました。さらに、人体に影響を及ぼすレベルの危害要因であるHazardについて、「病気やけがをするものに限定され、生物学的要因と化学的要因、物理的要因の3つに分けられます」と話した後、さまざまな食材の中からHazardを当てるクイズも行いました。後藤教授は最後に、「普段の生活で皆さんが食べている食品はHACCPに基づいて作られています。今回は、HACCPの表面的な部分しか紹介できていませんが、食品の安全性を証明する指標として重要な役割を果たしていることは理解いただけたと思います。皆さんがこれをきっかけに大学進学や研究に興味を持ってもらえたらうれしいです」とまとめました。

参加者した高校生からは、「初めて学習する内容であるHazardの種類等を学べたことがうれしかった。また、キャンパスの立地や建物等の造形を目にすることができたので、実際に訪問することができてよかったです」「食の安全性という非常に身近な内容を専門の先生に聞けたことがよかった。いろいろなHazardを学べたのが勉強となり、中でもネズミ本体がHazardに指定されていなかったことが印象的でした(インドネシアではネズミは悪い印象のものとして扱われているため)」といった感想が聞かれました。