「アンデス先史文明の謎のガラス?? “アンデス玉”を再現しよう」を開催しました

東海大学では昨年12月24日に湘南校舎で、小中高生を対象にした体験型イベント「アンデス先史文明の謎のガラス?? “アンデス玉”を再現しよう」(協賛=「国際ガラス年2022※」日本実行委員会)を開催しました。本学では国内有数の規模を誇るアンデス先史文明に関する遺物「アンデスコレクション」を約1900点所有しており、その中には、中心に赤褐色の芯が通った特徴を持つガラス「アンデス玉」が含まれており、文化社会学部の山花京子教授や工学部の秋山泰伸教授らが文理融合による共同研究としてその製法の解明を進めてきました。今回のイベントは、この研究成果をもとに「アンデス玉」の再現に挑戦しながら、参加者にアンデス文明の謎や魅力に触れてもらおうと企画したものです。

当日は、約30名の親子連れが参加。まず山花教授が旧大陸から新大陸のアンデス地方に持ち込まれたガラス玉の特徴を説明し、アンデス玉や15世紀から流通が始まったとされる「シェブロン玉」などのアンデスコレクションを紹介しました。秋山教授はアンデス玉の製法を解明するために展開してきた研究の過程を紹介。「赤褐色の芯部分からは銅が検出されました。銅とガラスは相性がよく、互いに接着しやすい性質があります。ガラスを円形に加工する際、持ち手となる棒に銅箔や薄い銅板を巻いておくことで、銅部分のみがガラスとくっ付き、棒を引き抜きやすくしていたと推測されます」と説明しました。

その後、工学部の学生がアシスタントを務めながら当時の製法を再現したアンデス玉づくりに挑戦。先端付近に銅板を巻き付けた細い鉄の棒に溶けたガラスを接着し、ガスバーナーであぶりオリジナルのアンデス玉を製作しました。参加した小学生は、「ガラスのつくり方をはじめて知りました。理科が好きなので参加しましたが、歴史にも興味がわきました」と笑顔を見せ、山花教授は、「本学が所有しているアンデスコレクションを知ってもらうよい機会になりました。秋山教授の分かりやすい説明だけでなく、工学部の学生が丁寧にアドバイスしてくれたおかげで、より楽しんでもらえていたように思います」と話しました。秋山教授は、「今回のような実験は火を用いるため安全管理が難しく、小中学校の授業ではなかなか実施することができません。ただ、“危険だからやらない”では子どもたちの興味や学びの場を失うことにもつながります。何が危険かを理解して安全に作業を行う方法を学ぶことが大事です。ぜひ今日の経験を忘れずに今後の学校生活に生かしてほしい」と語っていました。

※「国際ガラス年」は、国連が定めたもので、文明の中でガラスが果たしてきた役割を再確認するとともに、持続可能で平等な社会に向けて、ガラスの教育機関、企業、美術館などの公共機関の活動を活性化し、若い世代の科学者やエンジニア、ジェンダーの平等、発展途上国の取り組みを支援する国際的な同盟の枠組み作りを目指しています。その実現に向けて、世界各国でさまざまなイベントが展開されています。