阿蘇くまもと臨空キャンパスの竣工式を挙行しました

東海大学が熊本地震で甚大な被害を受けた農学部と大学院農学研究科の復興を目指して、阿蘇くまもと空港に隣接する本学宇宙情報センター用地内(熊本県上益城郡益城町杉堂)に建設を進めていた新校舎「阿蘇くまもと臨空キャンパス」がこのほど完成。3月26日に竣工式を挙行しました。

式には、学校法人東海大学の松前義昭理事長、東海大学の山田清志学長、木之内均九州キャンパス長ら教職員をはじめ、在学生を代表して九州学生会の髙本祐翔会長(経営学部2年次生)、熊本県の蒲島郁夫知事、益城町の西村博則町長、本学卒業生で全国町村会長を務める嘉島町の荒木泰臣町長ら多数の来賓、工事関係者らが出席。初めに地元・杉堂地区の氏神である津森神宮から神職を招いて神事を挙行し、続いて2号館エントランスでテープカットを行いました。祝賀会では、松前理事長が学園を代表してあいさつし、地元自治体や地域住民、工事関係者らへの感謝を述べました。工事報告に続いて蒲島知事が、県の営業部長兼しあわせ部長であるくまモンと共に登壇し本学や農学部への期待が語られたほか、山田学長も謝辞に立ち、熊本地震からの創造的復興に向けた取り組みを振り返りました。終了後にはキャンパスの見学会も行い、関係者が農学部の岡本智伸学部長ら教職員の案内で来場者が最新の教育研究施設や、旧阿蘇校舎以来つないできた貴重な標本資料の保管状況などを視察しました。

農学部では1年次生を対象とした基礎的な教養科目は熊本キャンパスで開講し、一部の授業を本キャンパスで開講。2年次生以降は主として本キャンパスで学びます。大学院では修士課程の農学研究科と博士課程の生物科学研究科が置かれ、総合農学研究所も本キャンパスに設置します。

松前理事長は、「学園では熊本地震による農学部と大学院農学研究科の被害を受け、将来起こり得る断層地震への備えの観点から阿蘇くまもと臨空キャンパスに移転しての再建を決断いたしました。この間、熊本県をはじめ地元自治体など多くの方々にご協力をいただいたほか、政府機関にもこのようなケースがない中でも、ご理解をいただき完成に至ることができました。今後は、熊本キャンパス、阿蘇実習フィールドと合わせて熊本県内3カ所で教育研究活動を展開し、地域の皆さまと若い世代を育成してまいります」と話しています。


■新キャンパスの概要
阿蘇くまもと臨空キャンパスは、3月23日に新旅客ターミナルがオープンしアジアへの玄関口として期待が高まっている阿蘇くまもと空港の南側約700mと至近距離の立地。「生きた農の力で、創造的な人材と未来を育む農学部」をコンセプトに、教育・研究エリアと実習エリアを一体化している点が大きな特徴です。

全体で110,550.06㎡ある敷地内には、教育・研究棟のほか、食品加工、農学、動物の各教育実習棟、乳牛舎、豚舎、緬羊舎など計30棟を設置。新築建物の面積は23,675.32㎡、既存建物の改修面積は3,404.65㎡となっています。配置では、本学の校旗の十字の白線が示す「横が愛、縦は正義を表し、愛と正義の交わるところに真理がある」という理念を踏襲。タテとヨコを意識した計画としました。校舎の南北にゲートを設け、来校者を出迎える「芝生広場」を置き、メーンとなる2号館につながる動線計画にまとめています。

2号館は「ロ」の字型の研究実験講義棟で、中庭の広場を中心に、学生の動線が交差する場所にコミュニケーションスペースを設置して学年や学科を超えた偶発的な出会いを誘う回遊型校舎を意図した設計となっているほか、敷地の高低差を利用して他の建物やフィールドとのつながりも考慮しています。さらに、熊本地震の経験を生かして災害時における安全確保を優先するため、1号館と2号館の一部を一時避難所に指定し、72時間の電力供給が可能な非常用発電機も設置しました。

1986年に開設された宇宙情報センター施設は1号館として改修されました。内部には宇宙情報センターの機能も維持され、農学教育研究との融合による更なる発展も期待されています。

※新キャンパス設置の経緯
2016年4月に発生した熊本地震では、旧阿蘇校舎の教室棟や研究棟に甚大な被害があったため、農学部と大学院農学研究科の授業は熊本校舎で開講してきました。しかし、研究室単位での圃場や家畜飼育などをはじめとする実習場の確保が十分でなく教育環境の充実が課題となっていたことから、これらの状況に鑑み学校法人東海大学として検討を重ねた結果、宇宙情報センター用地の転用を決定。2020年12月から新校舎の再整備を進めてきました。