海のはくぶつかんシンポジウム「 東海大学海洋科学博物館の『これまで』と『これから』」を開催しました

海洋科学博物館で3月26日に、海のはくぶつかんシンポジウム「東海大学海洋科学博物館の『これまで』と『これから』」を開催しました。本博物館と1981年開館の自然史博物館は3月31日をもって有料入館を終了し、4月1日以降は学芸員養成や海洋研究を中心とした高等教育研究機関として、50年以上にわたって蓄積してきた飼育展示技術や標本を活用していくことが決まっています。このシンポジウムは、有料入館終了を前に、これまでに来館いただいた皆さまに感謝を伝えようと企画されたものです。

当日は事前申し込みにより、東北や近畿など遠方からも含め、海洋学部の卒業生や水族館・博物館の関係者、昔からの当館ファンの皆さんら53人が参加しました。冒頭では、村山司館長(海洋学部海洋生物学科教授)が「海洋科学博物館のこれまでとこれから―新たな飛躍に向けて―」と題して基調講演。海洋研究の推進を目的に1970年5月に開館して以来の歴史と歩みを折々のトピックスを交えながら振り返り、「今後は完全予約制で開館し、本館が所蔵する4万点以上に及ぶ研究資料や標本などを活用してもらいながら地域貢献を図っていきたい」と話しました。

続いて、犬木義文学芸員が「海洋科学博物館の繁殖研究のあゆみ」をテーマに、繁殖分野における多くの受賞歴を紹介。「今後も基礎研究を深め、これまで培った技術を生かして持続可能な水族館を目指したい」と話しました。次に登壇した海洋学部海洋生物学科の廣瀬慎美子准教授は「博物館と海洋環境問題・環境教育〜駿河湾にもマイクロプラスチックは浮いているのか?〜」をテーマに講演。学生らと取り組んでいる駿河湾の海洋ごみ調査の概要や、特にペットボトルに着目する調査など継続的な取り組みを紹介しました。

後半は冨山晋一学芸員が「標本を集め続けて3万点!50年の軌跡と今後の展望」と題して講演。博物館における標本の重要性や、地元の駿河湾に注力し50年以上にわたって収集した当館の標本は、他館にはない貴重なコレクションとして新たな発見にもつながっているといった成果を紹介。最後に海洋学部海洋生物学科の堀江琢准教授が「ラブカの飼育にチャレンジする海洋科学博物館と大学の研究」と題し、深海性のラブカを捕獲し飼育して調査することから分かる魚体の環境汚染物質の蓄積などについて最新の知見を披露。それぞれの講演に対して聴講者からは活発な質問が寄せられました。

シンポジウムの終了後は、学芸員の先導により3グループに分かれてバックヤードツアーを実施。開館当時は東洋一とうたわれた巨大水槽を上部からのぞき込んだほか、標本室や実験室、地下水の汲み上げ塔など、普段は見られない博物館を支えるさまざまな施設を見学しました。参加者は「大学の施設ならではの解説など、専門性に触れられることは他の水族館と違う魅力があります。飽きることがないので何度も訪れています」と話していました。