東海大学 客員教授就任記念「春風亭昇太 特別公開授業」を開催しました

東海大学では11月22日に、静岡市清水文化会館マリナートで「東海大学 客員教授就任記念『春風亭昇太 特別公開授業』」を開催しました。東海大学第一高校(現・付属静岡翔洋高校)卒業後、湘南校舎の文学部に入学し落語研究部からプロの落語家となった春風亭昇太師匠は、今年10月1日付で本学海洋学部客員教授に就任。日本テレビ「笑点」の司会者や公益社団法人落語芸術協会会長としても活躍する一方、中世城郭に関する著書を出版するなど日本文化に造詣が深いことから、来年度に静岡キャンパスに新設する人文学部での活躍を期待して客員教授を委嘱しました。

当日はまず、山田清志学長があいさつし、「来年4月には静岡キャンパスに海洋学部に加えて人文学部を設立いたします。その新学部の講義に春風亭昇太師匠にもご参加いただき、講義の厚みを増していきたいと考えております。本日はパネルトークとして人文学部に所属予定の教員による研究の発表もございます。東海大学が新たな教育を展開していく上での大きな節目の時であり、ぜひ皆さまに注目していただきたい」と話しました。

特別講義では、昇太客員教授が「清水の城と歴史」をテーマに講義を展開。初めに“枕”として10月5日に本学高輪キャンパスで実施した委嘱式での記者会見で求められた謎かけについてユーモアを交えながら紹介し、続いて自己紹介として清水市内(現・静岡市清水区)での少年時代や第一高校と大学時代を振り返りました。本筋に入ると、7世紀の「白村江の戦い」において大和政権から百済に送られた廬原君臣(いおはらのおみ)が清水の出身であることや、軍船を用いて現地に赴く操船技術を有していたことなどを紹介。さらに、唐からの攻撃に備えて福岡県に築かれた「水城」や「大野城」の石垣について解説しました。また、鎌倉時代には、現在の清水区周辺を根拠地にした駿河武士団が梶原景時一族を滅ぼし、その恩賞として西国へと移った史実や関ケ原の合戦で駿河武士団の末裔である吉川広家が果たした役割、吉川家によって建てられた「米子城」などについて説明。さらに清水の城として現在は静岡市立清水江尻小学校がある地にあった「江尻城」の構造や武田氏や徳川氏によって整備された「袋城」に関する考察などを展開しました。最後に学生たちに向けて、「東海大で落語を知り、そのおかげで楽しく暮らしています。また、好きなお城のことを調べていたら仕事のようになってきました。一見興味のないことでも探求を続けるときっといいことがあります。東海大で学んだことを生かし、社会人になっても頑張ってください」とエールを送りました。

続く第2部では、人文学部所属予定である栗原ゆか教授(清水教養教育センター)の司会進行のもと、同じく新学部で教鞭をとる北東アジア考古学が専門の木山克彦講師(清水教養教育センター)と自然人類学が専門の日下宗一郎講師(海洋学部海洋文明学科)、昇太客員教授が参加してパネルトーク「フィールドワークの愉しみ」も実施。木山講師は「契丹・モンゴルの城」と題して、11世紀初頭にモンゴルを支配していた契丹のチンドルゴイ城の発掘調査の成果や、城郭の概要について紹介しました。また、遺跡から出土した人骨の多元素安定同位体分析や放射性炭素年代測定に取り組む日下講師は、「人類学での発掘調査を通じて」をテーマに、学生とともに取り組んできた洞窟の発掘調査の現場や、タイにおける発掘調査などについて紹介しました。昇太客員教授によるコメントでは、「ぜひ一緒にフィールドワークに出かけたい。座布団2枚!!」と今後への抱負や笑点風の評価も飛び出しました。

なお、開式前や第2部の開始前には東海大学静岡吹奏楽団が建学の歌と校歌の演奏を披露して会場を盛り上げたほか、講演後には同楽団に所属する小塩理緒菜さん(海洋学部3年次生)が昇太客員教授に花束を贈呈しました。