第15回Good Jobコンテスト」を実施しました

伊勢原キャンパスと医学部付属4病院(付属病院、東京病院、大磯病院、八王子病院)ではこのほど、教職員を対象とした「第15回Good Jobコンテスト」を実施しました。日ごろから取り組んでいる仕事や職場環境の改善策を共有し、業務のさらなる充実や効率化を図ることを目的として毎年行っているものです。サービスの向上や職場環境の改善、コストの削減を目指す「業務・職場環境改善事例部門」には、医学部や看護部、診療技術部、薬剤部、事務部など多くのセクションから19組がエントリー。11月15日のプレゼンテーション審査を経て、Good Job大賞1件、優秀賞1件、審査員特別賞6件が決定し、Good Job大賞には、八王子病院診療技術部臨床工学技術科の藤田貴宏さんら17名が取り組んだ、「コロナ専用病院を救え!八王子病院とタブレットでつながる医療機器の安全管理」が選ばれました。

渋谷区にある東京病院は昨年度に都の要請を受け、「新型コロナ専用病院」として軽症から中等症程度の患者を受け入れています。新型コロナウイルス感染患者の治療には、人工呼吸器やネーザルハイフロー(鼻に差し込んだ管から加湿された高濃度の酸素を大量に投与する機器)といった生命の維持に不可欠な医療機器が用いられており、今年度から八王子病院臨床工学技術科の臨床工学技士(ME)が、それらの医療機器の保守管理などを請け負うことになりました。しかし両病院は、公共交通機関を利用して1時間30分ほどかかる離れた距離にあります。そこで藤田さんらは、東京病院で実際に機器を操作する医師や看護師が24時間安心して対応できるよう、緊急時でも遠隔から対応可能なサポートシステムの構築に着手しました。

藤田さんらは、看護師らに親近感を持って遠慮なく電話で質問してもらうため、MEの顔写真入りのシフト表を作成。続いて、双方にタブレット端末を準備し、互いに画面を見ながら正確かつ速やかに機器の操作ができるよう、WEBビデオ会議システム「Teams」の使用方法を周知しました。さらに、ME全員が東京病院に設置されている機器の種類や操作方法を熟知するとともに、操作や点検の手順書を作成。週に1回は東京病院を訪問して看護師らを対象とした勉強会を開き、手順書をもとに実機を用いたトレーニングを実施したほか、機器の保守点検も行いました。

藤田さんは、「コロナ専用病院になったことで、東京病院では人工呼吸器やネーザルハイフローを使う頻度が一気に増えました。治療には医療安全を確保した上での“待ったなし”の対応が求められます。万一、突発的な機器のトラブルなどが発生したときでも、東京病院の医師・看護師と八王子病院のMEがタブレットを通してすぐにつながり、適切な対処ができる体制を整えるのが最大の目的でした」と振り返ります。「年度当初は頻繁に質問や相談の電話がありましたが、MEが丁寧に対応することで現場の安心感につながったと思います。お互いの信頼関係が深まり、新たな形の病院間チーム医療を構築できたことが何よりもうれしい。東京病院の看護部の皆さんや八王子病院のMEはもちろん、両病院の診療技術部門や事務課、システム課など、協力してくださった多くの方に心から感謝しています。今後は、勉強会で答えてもらったアンケート結果をもとにこれまで実践してきたことを検証し、さらに連携を強化して医療安全の充実につなげていきたい」と話しています。 

なお、日々の業務の中で実践している「私のちょっとした工夫部門」には10件の応募があり、書類審査により最優秀賞1件と優秀賞5件が決定。最優秀賞には、東京病院の酒巻有沙さんら看護部4階病棟が取り組んだ「多国籍患者に『症状確認表』を導入して~コミュニケーション時のストレス軽減~」が選ばれました。