「海洋環境調査ワークショップ~八重山の海を守る~」を開催しました

東海大学沖縄地域研究センターでは10月1日に石垣市役所で、「海洋環境調査ワークショップ~八重山の海を守る~」を石垣市との共催で開催しました。東海大学は、西表島に沖縄地域研究センターを有することから石垣市と包括連携協定を結び多岐に渡る研究協力に取り組んでいます。国内の研究者を招き、日本の管轄海域の根拠として重要な役割を担う国境離島を抱える八重山海域の海洋環境問題について考えることを目的としたものです。地元住民ら約20名が参加しました。

本センターの斉藤雅樹所長(人文学部教授)が「沖縄における地域研究・沖縄地域研究センター活動紹介」と題して登壇。本センターの沿革や近年の研究実績を説明し、「海洋関係だけでなく、マイクロプラスチックや建築材料の耐久性、防災分野に関する研究なども行っています。地球温暖化が進み、現在の西表島の気候は100年後の東京湾を先取りしていると言われており、本センターのある網取湾における研究が増加しています」と語りました。さらに、「本学には海洋学や農学、地球観測、考古学、科学教育、環境学はもちろん、観光や地域振興などの専門家も多く在籍しています。今後ぜひ石垣市をはじめとする八重山地域の皆さまと多面的な連携を模索していきたい」とまとめました。その後は、上智大学総合グローバル学部教授の都留康子氏が「海洋保護区に関する国際動向」について、明治学院大学法学部准教授の鶴田順氏が「国際法の視点から」をテーマに講演。続いて「石垣市の国境離島の現状と未来」と題して講演した海洋学部の山田吉彦教授は、尖閣諸島周辺海域で実施した海洋調査の映像を紹介し、魚釣島は山肌があらわで植物が極めて少ないといった現状を解説しました。中国が尖閣諸島にこだわる理由や貿易の現状などにも触れながら、「安定して漁業資源を獲得できる状況をつくることが重要。八重山の人々の生活が安定し、安心安全で暮らせる環境をつくるためにも尖閣諸島をしっかりと守っていくことが、この国の、石垣の、国境離島の姿につながっていきます」と語りました。

ワークショップを聴講された市民からは「海洋環境調査の目的と研究成果の情報発信を積極的に行ってほしい」「八重山の海の汚れが目に付くようになり、環境保護の観点から環境を守る規制の必要性を感じるようになった」など、海洋の「環境」をキーワードとした要望や意見を交わす様子から関心の高まりが見られました。

斉藤所長は、「講演後には会場からも多くの質問が上がり、地元の方々の関心の高さがうかがえました。今後もいかに八重山の海を守り、平和的に海洋安全保障を実現していくか皆さまとともに考えていきたい」と振り返りました。