「東海大学研究Day2023」を開催しました

東海大学では3月8日に湘南キャンパスで、「東海大学研究Day 2023」を開催しました。コロナ禍でここ数年実施がかなわなかった対面での研究者間の交流を、ポスター発表や成果報告会、セミナー、パネルディスカッションなどを通じて図ることを目的として昨年度から実施しているものです。当日は、各キャンパスの教員や研究担当の職員、学生、大学院生ら多数が参加しました。

初めに、総合研究機構「プロジェクト研究」成果発表会の席上で、梶井龍太郎学長代理が開会のあいさつに立ち、「2回目の開催を迎え、昨年度よりさらに盛り上がる催しになると期待しています。43件が集まったポスター発表には大学院生も参加しているなど、研究Dayをきっかけに大学全体の研究活動の大きな飛躍につなげていただきたいと願っています」と語りました。続く成果発表会では、12名の研究代表者が採択課題の概要やこれまでの研究成果、論文発表や特許申請の状況などについて報告。発表後にはそれぞれ質疑応答の時間も設け、会場から研究方針や今後の展望など細部にわたって多数の質問が寄せられ、活発な意見交換が展開されました。

また、14号館1階ロビーでは、2023年度「付置研究所成果報告会」として16の研究所・センターがポスターで成果を報告。教員、学生、大学院生を対象に公募したポスター発表では「自身の研究」をテーマに、43件が出展しました。参加した大学院生は「文系研究者は成果発表の場が少ないため、今回初めて対面で論文を発表しました。ここまで研究してきた実感がようやく湧きました」「他分野の研究者とも交流できるのはこのイベントならでは。さまざまな視点からアドバイスをもらえて研究の視野が広がりました」と話していました。

午後には、国際原子力研究所による「着任セミナー」、スポーツ医科学研究所による「ミニシンポジウム」を開催。プログラムの最後には、パネルディスカッション「次代の研究者育成について~次代の研究者に願うこと、自分たちができること~」を開き、大学院医学研究科、同健康科学研究科研究科長の秦野伸二教授(医学部)が座長を務め、サイエンス・エンジニアリングカレッジプロボストの濱本和彦教授(情報理工学部)、ウチムラカンゾウカレッジ札幌プロボストの網野真一教授(札幌キャンパス長、生物学部)、総合農学研究所所長の今川和彦教授、大学院海洋学研究科研究科長の齋藤寛教授(海洋学部)、大学院文学研究科日本文学専攻専攻長の堀啓子教授(文化社会学部)が登壇。各キャンパスや文系理系双方の大学院における研究者育成の取り組みをはじめ、大学院博士課程在籍者から採用される特定助手、特定助教の制度や、大学院生の研究への向き合い方など多彩な話題が展開されました。

「若手教員に向けた研究支援では、お金、時間、人の3点が重要。特に若手に対してはどのように時間をつくってあげるのか考えなくてはなりません」と濱本教授。網野教授は、「学生はさまざまな目的をもって大学に進学してきますが、満足度を上げるには独創的な研究活動を共に行うことだと考えており、大切にしていきたいポイントです」と語り、今川教授は、「博士課程を終えてポストを得られなかった『ポスドク』の問題もあるが、常勤の教員に採用されても成長するための時間が得られないケースも多くあるので対策が必要」と提言しました。

また、齋藤教授は、「学部の学生募集の状況次第ではキャンパスに割り振られる予算も変わってくるため、教員一人ひとりがやるべき業務も増加します。時間をどうつくり、どのようにして研究予算を得ていくのか考え、対応していかなくてはなりません」とコメントし、堀教授は、「文系の大学院ならではの事情かもしれませんが、大学院進学が就活の失敗による逃げ道になっているケースもあるため、特にメンタル面のサポートが大切だと感じています」と訴えました。最後に秦野教授が、「学部での教育と同じようにしっかりと大学院生を育て上げ、2042年に建学100周年を迎えた時に東海大を引っ張れる人材の育成を真剣に考えていかなくてはなりません」と提唱しました。

2023年度総合研究機構プロジェクト成果発表会
国際原子力研究所着任セミナー
スポーツ医科学研究所ミニシンポジウム